クレアモント大学院大学ドラッカー・スクール・オブ・マネジメント准教授、ジェレミー・ハンター氏が開発したセルフマネジメントのプログラムは、その実践性の高さから「人生が変わる授業」と称され、ビジネスリーダーが世界中から集まってくるほどの人気を博している。ハンター氏は20歳の頃に腎臓の病気で5年以内に死亡する確率が90%と宣告された。苦しい闘病生活の中、前を向くために作った「アプリシエーション・リスト」とは――。
ペンとノート
写真=iStock.com/Nuthawut Somsuk
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セルフマネジメントスキルは日常の中で磨ける

わたしはロサンゼルスにあるドラッカー・スクールで、「自分をマネジメントできなければ人をマネジメントすることなどできない」という経営学者ピーター・F・ドラッカーの思想をベースに、リーダーたちが自分自身を発展させるセルフマネジメントスキルを教えています。

セルフマネジメントスキルを学ぶのに、なにも10日間の瞑想リトリートに参加する必要はありません(もちろん、参加するに越したことはないのですが)。適切なツールを使えば、職場、あるいは家庭での日常生活の中でセルフマネジメント力を養う機会はたくさんあるからです。

たとえば、前回の記事では目の前にある選択肢を広げられる「インテンション・リザルト・マップ(IRマップ)」という実践的なツールを紹介しました。IRマップを何度も使うことで、自分が本当に望んでいる結果や、自分にとって重要なこと、そして手放すべき思い込みが明らかになってきます。すると、次第に精神的・感情的な柔軟性が身につき、今ある結果をより良い結果に変えていけるようになります。

「私」より「役割」が重視される日本

ところで、あなたがいま本当に望んでいる結果とは何でしょうか。

わたしのこれまでの経験から、日本人の多くは自分が本当に望んでいることを表現するのが苦手なように見受けられます。これは儒教の影響とも関係しており、個人のアイデンティティーよりも社会的な役割が重視されてきた歴史的背景があってのことだと思います。

だからこそ、日本ではわたしが「私」である以前に「優秀なビジネスパーソン」であり、「頼もしい夫」、「良き妻」であることが求められる場合が多いのではないでしょうか。

また、自分がやりたいことを追求するのは「わがまま」であり、「わがままな人」は他人や社会に迷惑をかけてしまうという思い込みもあるように思います。

しかし、実はその逆なのではないかとわたしは思っています。意義のある、活力みなぎる生き方をしている人は、周りの人にも活力を与えます。それは決して利己的なことではなく、他人に与えることのできる最大の贈り物のひとつなのです。

8月に予定している、女性を対象にしたオンラインセミナー(『自分を知り、結果を変える ~女性リーダーのためのセルフマネジメント講座~』)でも、活力のある生き方を実現していくためのエクササイズを準備しています。ここではその一部をご紹介しましょう。

ジェレミー・ハンター氏のウェビナー開講!
プレジデント社では2021年8月から10月にジェレミー・ハンター氏を講師とした女性リーダーのためのセルフマネジメント講座を開講します。前編と後編に分けての開催となり、後編は、前編修了者、もしくはジェレミー・ハンター氏の講座の受講経験者が対象です。詳細は下記をご参照ください。
自分を知り、結果を変える ~女性リーダーのためのセルフマネジメント講座~