人脈は絶やさず内戦後は一番乗りで
現状、日本は中国と同様に、ミャンマーにかなりの直接投資をしていますが、やはり今回の問題に対しては何もできないというのが正直なところです。むしろ進出している400社ともいわれる日本企業は撤退せざるを得ないのではないか、そこが心配されるところです。
欧米は「暴力はいかん!」「経済制裁だ!」と、非人道的な国軍に対して強く出ていますが、それができるのは、もともとビジネスの関与がないから。日本は利害関係がありすぎて、経済制裁しにくいのが現実です。これを“経済制裁のパラドックス”といいます。
とはいえ、今は表向きには、欧米と足並みをそろえて、国軍を非難するしかない。「もっと投資する」と言うと、欧米に怒られてしまいますから。
実際のところ日本としては、どうすればいいのでしょうか。
いちばん大切なことは、内戦後のことを考えて人的交流を続けていくことでしょうね。そして内戦が終わったら、とにかく一番乗りで入っていく。それしか日本にできることはないと思います。
戦略学Ph.D.(Strategic Studies)国際地政学研究所上席研究員。カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学卒業後、英国レディング大学院で、戦略学の第一人者コリン・グレイ博士に師事。近著に『サクッとわかるビジネス教養 地政学』(新星出版社)がある。