内戦すると、その後平和が訪れる⁉

ミャンマーの国内情勢の話に戻しましょう。現状、民主化勢力が少数民族に近づいて共に戦おうとしていますが、少数民族からすると、もともとは民主化勢力にも抑圧されてきた過去がありますから、今さら共にと言われても……、という気持ちがあるでしょう。

そもそもどの勢力も、これから和平して仲良くやっていこうとは思っていないのです。こういった状況から見えてくるのは、当然ながら“内戦”です。内戦は避けられません。というより、すでに内戦状態に入っていると認識していいでしょう。もしかすると、この状態が4、5年は続くかもしれません。

ミャンマーが内戦になると、外からは手がつけられなくなりますから、中国にしてもインドにしても、周辺国はすべて様子見にならざるを得ません。

戦争学の知見からいうと、内戦というのは、外の国との戦いよりも被害が大きい場合がけっこうあります。アメリカは第2次世界大戦やベトナム戦争など、過去にたくさん戦争をしてきましたが、いちばん犠牲者が多かったのは南北戦争です。最近、アメリカでのコロナの死者数が、南北戦争の死者数を超えたと話題になっていましたが、南北戦争では約50万人が亡くなっています。それほど内戦というのは激しいものなのです。

ゲティスバーグにおける南北戦争の再現
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内戦になると放火や略奪、虐殺など、さまざまな凄惨せいさんなことがありますが、内戦が終わると平和が長続きするという統計もあります。残念なことですが、ケンカをするなら徹底的にやらせる。そうでないと憎しみが残ったまま、分断してしまうこともあるのです。ボスニア・ヘルツェゴビナが、まさにそう。ボスニアとヘルツェゴビナは一見、両立していますが、中は分断されていますから。結局、そこに住んでいる人たちが納得する形におさまることがいちばんということです。