その1 クワイエットデイをつくる

自己顕示欲の強い人は自分の意見、存在をアピールしたい人です。

求められてもいないのにアドバイスをしたり、必要のないところで意見を言ったりと、しなくていいことをして顰蹙をかいます。言ってしまえば、黙っていることができません。

そこでクワイエットデイをつくります。直訳すれば静かな日ですが、ここでは沈黙の一日と訳しましょう。

沈黙の一日とは24時間しゃべらない日のことです。文字通り「言葉を発してはいけない日」です。会話することも禁止なので、電話も禁止です。さらに自分の意見を言うことも禁止です。例えば、しゃべれないからと言って、SNSやネットに何か書き込んだりするのもNGです。

オフィスで働く3人のビジネスウーマン
写真=iStock.com/metamorworks
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一日黙っているのは多くの人にとって苦痛なことです。コロナ禍の中、人とコミュニケーションをとる機会がめっきり減り、どうかすると一日家にいて、気づけば誰とも話さなかったなんていう日があったという方は多いのではないでしょうか。

これが自己顕示欲の強い人であれば尚更です。誰とも話さないことで、自分の存在を誇示することができず、自分が世の中から仲間はずれにされたような気持ちになり気が滅入ります。

しかし、口をきかないことで自分自身と会話する時間を長くすることができます。普段、自分が何を考えているのかじっくりと向き合うには、ちょうど良い時間です。

24時間、クワイエットデイが難しければ、はじめのうちは移動の間だけ、車に乗っている間だけといった具合に時間を区切ってもよいでしょう。

自分から何も発しない時間を意図的につくることで、自己顕示欲を大人しくさせることに慣れていきます。

その2 役に立たないことをする

自己顕示欲の強い人は人の役に立ちたい、立てると思っている人です。私達は子供の頃から人の役に立つことが良いことと教えられてきました。人の役に立てれば、相手が喜んでくれるのは勿論のこと、自分も気持ち良くなるので一石二鳥です。

私達は気づけば、人の役に立とうとするあまり、役に立たないことを極力避けるようになっています。

役に立ちそうもないことをしていると、「それをして何の役に立つのか?」とつい疑問を持ち、時には口にもします。役に立つことは美徳であると体に染み付いているからです。

世の中には役に立たなくても、価値があるものがあります。むしろ役に立たないからこそ、とてつもない価値を持つものもあります。

例えばアートです。誤解を恐れずに言えば、アートは直接的に何かの役に立つことはありません。

アートを身近においておくことで生活に潤いが出るとか、絵画を見ることで心が洗われるといったことがありますが、ボランティアで人助けをするといったことや、スマホのように生活に役立つというのとは、「役立つ」という意味において違います。

本来、自分が楽しむためだけにやっていたはずなのに、いつの間にか自己顕示欲を満たすために誰かの役に立つことが趣味を続ける目的に変わっている場合もあります。

もちろん、そういう趣味の楽しみ方があっても良いのですが、ここでは敢えて誰の役にも立たない、人から「何のためにやっているのか?」と疑問を持たれるようなことに取り組んでみることを、自己顕示欲を暴走させないためにお薦めします。