※本稿は、安藤 俊介『怒れる老人 あなたにもある老害因子』(産業編集センター)の一部を再編集したものです。
自己顕示欲を手放す方法
自己顕示欲を手放すためには、自分が人の役に立てない、立たなくても平気であることを受け入れる気持ちが必要です。
人の役に立つことや人から喜ばれることで感じる、人から認められることで持つものを「自己有用感」と言います。自己肯定感との違いは、そこに第三者が入るか否かです。
自己肯定感は本人さえいれば持てるものですが、自己有用感は誰かがいて初めて持てるものです。つまり、他の人の評価なしには持てない感情です。
歳を重ねると肉体的な衰えが始まるので、今までできたことが当たり前にはできなくなります。記憶力が低下し、老眼になり手に入れられる情報量が減ります。体力はなくなるので前のようには活動もできなくなり、手先が思うように動かなくもなります。自分では何も変わっていないし、気力も充実していると思っているものの、身体的な能力の低下はそれを補えなくなります。
老化への抵抗が自己顕示欲につながる
こうしたことは自我の崩壊を意味しています。今までの自分とは違う自分になっていくことを受け止められれば、その時なりの自分でいることができますが、以前と同じ自分でいたいと思っていると、崩れ行く自分を認めることができません。
役に立たなくなることへの不安から、自己顕示欲がより強くなり、自分をアピールします。歳を重ねてからの自己顕示欲の強さは、老化への必死の抵抗の現れとも言えるのです。