入社1年目、エクセルツールを使いこなすことで“飛び抜けた新人”と評価をされていた寺澤伸洋さんは、当時の上司Nさんに「エクセルなんかしてちゃだめだ。君が本当に伸ばすべきスキルがある」と指摘を受けました。「若いうちに伸ばすべきスキル」とは――。

※本稿は、寺澤 伸洋『40歳でGAFAの部長に転職した僕が20代で学んだ思考法』(KADOKAWA)の一部を抜粋したものです。

ノートパソコンを使用する手元
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「オフィスツール」を使いこなす人とは

マイクロソフトオフィスのエクセル、パワーポイント、ワード。内勤の方は、これらのツールをよく使われていることと思います。僕はエクセルが比較的得意で、経営企画室に入ったときにはかなり習熟していました。

当時はまだまわりはそれほどエクセルを利用しておらず、中には電卓で出した数字をエクセルに入力している人もいるような状態でした。

そうした中でなぜ僕がエクセルができるようになったのかというと、入社1年目に「この中でエクセルが飛び抜けてできれば、自分の価値を高めることができるんじゃないか」と考え、時間があればエクセルをいじって、見積書やその他のツールを効率的に作り変えるといったことをやっていたからなのです。

便利な「エクセル屋」になってはいけない

こういう仕事をしていると、どこかから噂を聞きつけて「うちの部門のシートも効率化できないかな?」「うちも、このデータをボタン1つで処理できるようにしたいんだけど、できる?」と、いろいろな部門から依頼が来るようになります。

僕も必要とされているのがうれしくて、すべて引き受けて効率化を実現していました。まさに僕と依頼者、双方が幸せを感じるWin Winの状態だと思っていたのです。

ところが経営企画室にきた途端、Nさんから驚くべき言葉を言われました。

Nさん「寺澤くん、エクセルなんかしてちゃダメだよ。君の能力は、もっとほかのところに使わないと」

僕「えっ」

Nさん「まわりにエクセルの便利屋みたいに使われてるだけじゃ、君の本当のスキルは伸びないんだよ」

僕「そ、そうなんですか?」

Nさん「そうだよ。誰かに頼まれたエクセルを作ってるだけじゃ、会社を動かすような仕事はできるようにならないよ。エクセルも、寺澤くんにしかできないことだろうから、やってあげたらいいとは思う。でも、それが自分の仕事のすべてだと思ったらダメ。もっと伸ばすべきスキルがあることに目を向けないといけない、っていうのが僕の言いたいことだよ」

僕「マジですか……たとえばどんなスキルを伸ばせばいいんですか?」

Nさん「うーん、そう言われるといっぱいあるんだけど……。

じゃあ、たとえば仕事でよく使うエクセル、パワーポイント、ワードで話をしてみようか」