“規定”を設けても実際に支給されていない実態

イギリスの女性解放団体フォーセット・ソサイエティによる、イングランドおよびウェールズの地方自治体に関する2017年の報告書によれば、「すべての地方議会は、議員が職責を果たすために必要なケア費用(保育・介護費用)のための手当を支給しなければならない」という規程を2003年から設けているにもかかわらず、実際に支給されたケースはごくわずかだった。

なかにはケア費用の払い戻しにまったく応じない議会もあり、払い戻しに応じる議会の大半も「補助金」を支給するだけだ。マンチェスターにあるロッチデール自治区議会の規程には、「これは1時間につき5.06ポンドを支給するもので、『ケア費用の全額払い戻しではなく、補助金である』と明記されている。ただし、この重要な注意事項は交通費には適用されない」。

これはリソースの問題ではなく優先順位の問題だと思われるが、地方議会の大半の会議は夜に開催される(保育の手が最も必要となる時間帯だ)。いまではアメリカやスウェーデンなど多くの国々の議会において、会議への出席や投票がリモート方式でも可能となっているが、イギリスの現行法はこのような安価な代替策を認めていないのだ。

「女性の見えない労働」に配慮した職場づくりを

有給労働の文化全体について、抜本的な見直しが必要なのはきわめて明白だ。そのためには、女性たちが従来の職場設計の対象であった身軽な労働者とは異なることを、しっかりと考慮する必要がある。

さらに、男性は右にならえで足並みをそろえる傾向が強いとはいえ、そんな働き方は望んでいない男性たちも増えている。結局のところ、企業も含めて私たちは誰ひとり、ケア労働者たちによる目に見えない無報酬労働の世話にならずには、生きていけないのだ。

もういいかげん、ケア労働をする人たちを不利な立場に追い込むのはやめるべきだ。私たちは無償のケア労働を認め、正当に評価しなければならない。そして、無償のケア労働に配慮した職場づくりを始めなければならない。

キャロライン・クリアド=ペレス(きゃろらいん・くりあど=ぺれす)
ジャーナリスト

1984年、ブラジル生まれ。英国国籍を持つジャーナリスト、女性権利活動家。オウンドル・スクール、オックスフォード大学ケブル・カレッジで教育を受けたあと、活動家として多くのキャンペーンに携わる。