賃金は下がっているのに物価は上がっている

米中対立が激しくなると、私たちの生活にも影響が出てきます。経済的にちょっと苦しくなります。アメリカが中国のマーケットを締めつけることで、中国で安く生産できなくなるからです。

実はコロナ禍になって、物の値段が非常に上がっていることをご存じですか。最近、チョコレートやクッキーなどのお菓子の中身が少なくなっていることに気づいている人も多いかもしれません。そう、これは値段を据え置きにして、個別包装などで中身を減らして価格の上昇を吸収しているのです。

キャンディー、チョコレート、スイーツ
写真=iStock.com/AntonMatveev
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その原因は、コロナ禍で人の動きが制限されて、作物の生産や物流がうまくいかなくなったことに加えて、気候変動による災害や豚インフルエンザなどの影響が考えられます。

これまで日本はデフレ、デフレといわれてきましたが、実は今はインフレというか、スタグフレーション。賃金が下がりつつあるところに、物の値段は上がっているので、経済的に厳しい状況が目の前にきています。

ですから今、私たち個人レベルでできることは、資産をうまく分散させることです。一時金などで貯金ができるようになった人も多いと思いますので、株を買う、暗号資産に変えるなど、うまく物の価値を逃すことをおすすめします。

ユダヤ人はいざというときは、手に持って逃げられるようにするため、必ず宝石を持っています。今ならロレックスなど高級時計を持つのもいいかもしれません。現在高騰しているとは言え、日本のロレックスの値段は世界的に見るとまだまだ低水準といわれていますから。

いずれにしても、これから米中対立が激化すると、お金の価値が下がる可能性があります。そういう危機感を持って、みなさんには、ぜひ資産防衛をしてほしいですね。

奥山 真司(おくやま・まさし)
地政学・戦略学者

戦略学Ph.D.(Strategic Studies)国際地政学研究所上席研究員。カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学卒業後、英国レディング大学院で、戦略学の第一人者コリン・グレイ博士に師事。近著に『サクッとわかるビジネス教養 地政学』(新星出版社)がある。