幼児教室に通うより大事なこと

許容的態度は、応答性は高い一方で、統制は低いタイプで、子どものどのような行動でも受容するような特徴があり、度を過ぎると過保護や甘やかしというネガティブな側面を持ちます。そのため、このような環境下で育つと、自己制御は低くなることが示されています。一方で、思いやりの特点が高い傾向があることも示されています。おそらく、これも権威主義的態度の親の子どもは、親の態度をお手本として他者に対して、攻撃的になったりするのに対して、いつも優しく受け入れてくれる親の態度がお手本となり、他者への思いやりが上がるのでしょう。

教育熱心になっている時ほど、子どもの意思とは関係なく親が子どもにとって良いと思うことを強制してしまいがちです。場合によっては、子どもの結果にばかりとらわれ、その時その時の子どもの要求に気がついて暖かい対応をすることができていない時も多いでしょう。とくに、幼児などには、“自分の意思はないから、将来のために親が用意してあげなければ”と思い、「非認知能力」を乳幼児期に高めることの重要性を強調するような施設やお稽古に通わせながら、学力(認知能力)も発達させるべく、様々なお教室や塾に通わせてしまいがちです。

そういった経験が必要な部分ももちろんあるでしょう。しかし、楽しみ、困難を乗り越えながら目標(様々な認知能力の獲得など)に向かっていくために必要な自己制御(非認知能力)を伸ばすのは、家庭内での親の養育態度であることを忘れてはいけないのです。

<参考文献>
•Baumrind, D.(1971).Current patterns of parental authority. Developmental Psychology Monograph, 4, 1-103.
•Baumrind, D.(1991).The influence of parenting style on adolescent competence and substance use. Journal of Early Adolescence, 11, 56-95.
•Eisenberg, N., Guthrie, I. K., Fabes, R. A., Reiser, M., Murphy, B. C., Holgren, R., Maszk, P., Losoya, S.(1997).The relations of regulation and emotionality to resiliency and competent social functioning in elementary school children. Child Development, 68, 295-311.
•Gatte-Gagné, C., & Bernier, A.(2011).Prospective relations between maternal autonomy support and child executive functioning: Investigating the mediating role of child language ability. Journal of Experimental Child Psychology , 110, 611-625.
•戸田須恵子(2006).母親の養育態度と幼児の自己制御機能及び社会的行動との関係について. 釧路論集- 北海道教育大学釧路校研究紀要-, 38, 59-69.
細田 千尋(ほそだ・ちひろ)
東北大学大学院情報科学研究科 加齢医学研究所認知行動脳科学研究分野准教授

内閣府Moonshot研究目標9プロジェクトマネージャー(わたしたちの子育て―child care commons―を実現するための情報基盤技術構築)。内閣府・文部科学省が決定した“破壊的イノベーション”創出につながる若手研究者育成支援事業T創発的研究支援)研究代表者。脳情報を利用した、子どもの非認知能力の育成法や親子のwell-being、大人の個別最適な学習法や行動変容法などについて研究を実施。