「すみませんでした」(棒読み)で攻撃をかわす
物理的距離というのは、相手の近くに行くことを極力減らすということです。距離をとれば、相手のパンチは届きません。
心理的距離というのは、無関心を決め込むということです。一番の心理的な距離は無視をすることなのですが、やっぱり仕事で無視をするというのは難しいので、その一歩手前の無関心。それに徹しましょう。
具体的には、相手があれこれ言ってきても反応をしないということです。
私のところに相談に来る人は、残念な人に対しても愛想を良くしようとしたり、怒られているからこそ頑張ろうとしたりすることが多いのですが、それは実は逆効果なんです。
残念な人というのは、こちらが反応すると、それに輪をかけてくるというか、つけこんでくるんですね。だから、すごく冷めたリアクションをとることがとても大事です。心の距離をとって、守りを固めるんです。
例えば、こんな感じです。
【残念な上司】何度同じミスをすれば気が済むんだよ。本当頼むよ~。
【自分】すみませんでした(棒読み)。(立ち去る)
怒られているからといって、落ち込んでいるように装う必要はありませんし、次は頑張るというような意欲を語る必要もありません。そういう態度をとると、相手がさらに話を進めて、攻撃をしかけてくるのは目に見えています。
だから、聞いているのか聞いていないのかわからないくらいの感じがベストです。会話のキャッチボールなどもしようとせず、YES、NOで終わるならそれだけでいいです。
とはいえ、最低限の態度というものがあると思うので、ひと言謝って、それで終わりにしてしまえば十分です。
「凛とした自衛官」になろう
私は産業医としてこの話をするとき、「凛とした自衛官になりましょう」と伝えています。
穏やかで凛としているんだけども、何を考えているのかわからないようなイメージです。そして、自分を守るという意味で自衛官。そういうキャラクターに自分を寄せていくと、無関心に徹することができるようになっていきます。
あと、これは余談になりますが、ネチネチしたタイプというのは、相手を下げることで自分を上げたい人であることが多いです。ミスを執拗に責めることで、自分の正しさを証明したいのです。
そして、さらに厄介なことに「4回もミスをするというのは、自分を困らせるために、わざとやっているんじゃないか」というような、歪んだ意味付けをしていることもあります。
そういう人は、何をしても変わらないので、相手を良くしようとか、良い関係性を築こうとかするのは、エネルギーの無駄遣いに他なりません。真剣にとりあうのは、エネルギーと時間が本当にもったいないです。それに、実際に何度かミスをしてしまったとしても、人間なんですからそういうこともあります。
だから、残念な人が身近にいる場合は、「自分が悪いのかな……」とは考えずに、凛とした自衛官になったつもりで振る舞ってみてくださいね。