おばさん、おじさんの乱入に困惑

【原田】自分でルームをつくれる、知らない人の会話も聞けてつながれるっていう、Clubhouseの利点とされている点が逆にデメリットに思えているわけか。加えて、時間的な束縛は確かに若い子は嫌だろうね。僕みたいなラジオ世代はオンタイムに慣れているけど、そこは大きな違いだろうな。ちなみに、Clubhouseで嫌な思いをしたり、困ったりしたことはある?

【高杉】帰国子女系のルームで「将来、子どもを海外と国内のどちらで育てたいか」というお題で話していたら、突然40代ぐらいの女性にお説教されたことがあります。「日本の意識を変えるのは帰国子女なんだから、皆、政治家になりなさい」って。困惑しちゃいました。

【國武】ルームで話していた時、おじさんが入ってきたことがありました。急に長い話を始めたから「この人何なんだろう、若者に自分の知識をひけらかしたいのかな」って思ったし、何だか怖かったです。

1カ月足らずで急速に興味を失う

【原田】空気を読めないおじさん、おばさんの乱入に戸惑ったんだね。しかも発言が長いと。僕も含めて、発言したがる中年って話が長い人が多い(笑)。若者と話したい気持ちはわかる気もするけど、説教や武勇伝はNGだろうな。若者が安心して使うには、ルームに年齢制限をかけられる仕組みや匿名性が必要なのかもしれないね。

Clubhouseに対しては、続けている人が多いアラフォー世代に比べ、若者たちは急速に、始めてから1カ月足らずで興味を失っているようです。最初に飛びついた新しもの好きの若者も、招待されて参加した時点で達成感を得てしまい、その後はあまり活用していない様子。

同じ若者でも、特定の話題に関心が高い層や、帰国子女のコミュニティーなどでは使われ続けているようですが、いわゆる普通の大学生からは「面倒」「他のSNSのほうが便利」「知らない人の話を聞く必要性を感じない」といった声が多数。友達と使うにしても、わざわざ予定を合わせなければならないのがネックになっています。ユーザーが急速に増えた分、若者が「自分たちにとっての使いづらさ」に気づくのもまた早かったと言えるでしょう。この新しいSNSがどんな戦略をもって生き残りを図るのか、今後も注目していきます。

構成=辻村洋子

原田 曜平(はらだ・ようへい)
マーケティングアナリスト

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。信州大学特任教授。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」「Live News it!」、日本テレビ「バンキシャ」等に出演中。「原田曜平マーケティング研究所」のYouTubeチャンネルでは、コロナ禍において若者の間で流行っていることを紹介中。