日帰り一人ドライブもアリ

【高杉】私も、よく一人で日帰りドライブをしています。最近免許を取ったばかりで、友達を乗せるのはまだ怖いから。運転の練習も兼ねて、少し遠目の場所に行って趣味の写真を撮ったりして楽しんでいます。

【齊藤】旅行会社も、今は遠くに出かけるプランより、街から離れた場所にある隠れた名店やちょっといいホテルをおすすめしてくれたらうれしいですね。僕は、何もない田舎にポツンとあるようなおいしい店が好きなんです。

「自転車に乗り始める若者も増えた」と河内さん
「自転車に乗り始める若者も増えた」と河内さん

【原田】若者にそうしたニーズがあるのなら、これからは旅行会社が出すプランも変わってくるかもしれないね。じゃあ旅行以外ではどうかな? 皆の周りで、コロナの影響で流行り始めている遊び方があったら教えてくれるかな。

【國武】オンライン読書会を始めた子が何人かいます。知識系や勉強系の本が多いんですが、皆で同じ本を読んだ後に、オンライン上で感想や分析を言い合っているそうです。

【河内】散歩する人や自転車に乗る人も増えましたね。自転車は、今は自分で持っていなくても簡単に借りられるから、気軽に始められるんだと思います。

3~4人で山手線を一周

【山本】友達は3~4人で、山手線を歩いて一周するっていう遊びをやっていました。通った駅を一つずつインスタのストーリーに上げていて、「いいね」も結構ついていましたね。

【國武】私は、ランチしに遠めの場所まで行くようになりました。これまでは近所ばかりだったけど、今は隣駅や田舎のほうでお店を開拓しています。

【高杉】公園に行く若者も増えた気がします。都内だけでも石神井公園、等々力渓谷公園、昭和記念公園とかたくさんありますよね。でも、ピクニックに行くわけじゃなくて、ただ友達と散歩しておしゃべりして帰るっていう人が多い。エアビーはお金がかかるから、それに代わる「少しキレイめな場所」として公園を選ぶんじゃないかな。仲のいい友達と対面で、気兼ねなく話せる場所を求めている若者は結構いると思いますよ。

【原田】皆、密に気をつかいながら遊び方を工夫していたんだね。若い子は、ずっと家にいるのも友達と会えないのもつらいだろうけど、コロナの影響で出かけられる場所は限られている。そんな中で、田舎や公園へ行ったり、地元のエリア内で少しだけ遠出したりしているわけだ。

今回の座談会では、卒業旅行の現状や、旅行に代わる若者の楽しみ方を聞きました。グランピングやホカンスのほか、1泊ずつの分散型小旅行や日帰り旅行も人気が高まっているようです。また、行き先としては公園、郊外といった新たな場所が支持を得ている様子。地元などの近場をあらためて探索しようとする動きもあり、これは世界中でローカル意識が高まりつつある現状ともリンクしているように思いました。こうした傾向は旅行に代わる楽しみ方として定着するのか、それともコロナ期だけの一過性のもので終わるのか、引き続き注視していこうと思います。

構成=辻村洋子

原田 曜平(はらだ・ようへい)
マーケティングアナリスト、芝浦工業大学教授

1977年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーを経て、現在はマーケティングアナリスト。2022年より芝浦工業大学教授に就任。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。主な著作に『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(幻冬舎新書)、『パリピ経済 パーティーピープルが経済を動かす』(新潮新書)、『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』(光文社新書)、『寡欲都市TOKYO』(角川新書)、『Z世代に学ぶ超バズテク図鑑』(PHP研究所)などがある。