「第3子へ1000万円」支給案
2点目は、経済的インセンティブです。
たとえば、3人目には1000万円を給付するという方法です。
ほとんどの夫婦は何もしなくても2人くらいは産むものの、その先にある壁が第3子。
しかし200万や300万のような小さい金額ではさほどモチベーションにはならないし、無償化も負担がないというだけで、やはりおトク感を実感しにくい。
しかし1000万円はインパクトがあります。多くの人は1年後の110万円よりも目先の100万円に飛びつくと言われる通り、目先に大きなニンジンをぶら下げるのは効果ありそうです。
もちろんその1000万円欲しさに、養育の意志や能力に欠ける人までもが子を増やし、虐待やネグレクトの温床となる危険性はあるものの、1000万円ももらえるなら、「3人目は無理かなあ、2人で十分かなあ」と思っていた夫婦が、じゃあ第3子もいいかなと考える可能性は小さくないと思います。
第3子以上の出生は年間約16万人。第3子に1000万円を給付すると予算は1.6兆円かかります。とはいえ医療や年金がそれぞれ12兆円ずつかかっているのを考えても、決して不可能ではない数字に思えてきます。
それに、生まれた瞬間に1000万円も貯金が増えるのだから、たとえば幼児教育を無償化するほどの大盤振る舞いをしなくても、ちょっとくらい負担してもらってもいいでしょう。
医療費も12歳まで無償という自治体もありますが、これも1回あたり100~200円くらい負担してもらっても大きな違和感はないはずです。
そして子どもが増えれば、将来の納税者も増えることになります。少子化対策を本気で考えるのならば、高額納税者の児童手当を削るという発想をしている場合ではないのです。
1971年岡山県生まれ。中央大学経済学部卒業後、会計事務所、コンビニエンスストアチェーンを経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。IT・情報通信・流通業などの経営戦略立案および企業変革プロジェクトに従事。本業のかたわら不動産投資を開始、独立後に株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズ、株式会社エデュビジョンを設立し、不動産投資コンサルティング事業、ビジネスマッチング事業、教育事業などを手掛ける。現在は起業家、個人投資家、ビジネス書作家、講演家として活動している。著書に『33歳で資産3億円をつくった私の方法』(三笠書房)、『決定版 年収1億を稼ぐ人、年収300万で終わる人』(Gakken)、『「いい人」をやめれば人生はうまくいく』(日本実業出版社)、『お金の才能』『お金の壁の乗り越え方 50歳から人生を大逆転させる』(かんき出版)など。