ほかにもっと削れるところがあるはず

民間ではたくさんお金を払えばより高付加価値なサービスが受けられるのが一般的ですが、行政サービスはむしろ逆で、納税すればするほど冷遇される状況です。

「高所得者は余裕があるからいいだろう」などという発想があるとしても、それは子育て関連ではなく別の分野に適用すればいいだけでしょう。本気で少子化対策を考えているなら、出産・子育てへのモチベーションを下げる施策に何の意味があるのかと疑問に思います。

子供と一緒に歩く若い両親
写真=iStock.com/RyanKing999
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「もらえるものがもらえなくなる」という不満からではなく、わざわざここをターゲットにして小銭を浮かせて不評を買うくらいなら、「ほかにもっと削れるところがあるだろう」というのが私の周囲の共通した意見です。

「夫婦ともに年収1000万円」の場合は支給停止にならないおかしさ

それに、片方が年収1200万円なら支給停止となるのに、夫婦ともに年収1000万で世帯年収2000万あっても停止とならないというチグハグ感。これが制度の理念にマッチしているのか非常に疑問です。

おそらく「夫が外でフルタイムで働き、妻はパート」といういまだ昭和の固定観念を引きずる人たちが抱く家庭観に基づいているのでしょう。

さらに、「高所得者から税金を取る」「高所得者の優遇をやめる」のは庶民からの反発が少なくスムーズに採用できるだろうという姑息こそくな発想を感じるのは私だけでしょうか。

高所得者は納税という点ですでに義務を果たしているのだから、そこで終わりにしてあげて、本気で少子化対策を考えるなら子育て環境こそ平等にしてあげればいいと思います。そもそも子に罪はないのに、たまたま生まれてきた親の収入の影響を、政府が余計に大きくしてどうするのか、とも思います。