フライパンは高級・高機能、子どもの食器は100円ショップ
たとえばわが家の例で恐縮ですが、フライパンや鍋といった調理用品は、高機能なものを買っています。
調理道具は値段だけではなく、たとえば「焦げ付きにくさ」や「掃除のしやすさ」、そして「耐久性」も重要であり、激安商品とは明らかに差があります。そしてこれは毎日のことですから、やはり快適に使えるほうがいい。同じように、家庭で使う洗剤類も、「汚れの落ちやすさ」「すすぎの泡の切れ」「除菌効果」といった機能に依存しますから、これらはちょっと値段が高くても、毎日の家事を楽にしてくれる効果があります。
一方で、100円ショップも利用しています。先日100円ショップで購入したのは、子ども用のプラスチック食器です。子ども(幼児)は食器を床に落としたりするので、プラスチック食器のほうが安心だし安全。しかもレンジ対応もしている。一方で、食器は使い勝手など性能に依存する要素が少ない。ということは安い方がいい。
このように、使い勝手が変わらず機能性を求めない消耗品については100円ショップで十分であり、そうでないものは値段が高くても良いものを買うようにしています。
着眼点5.モノの値段と価値の関係を知る
もうひとつ、高級すぎてもお金の無駄になることがあります。
たとえばビジネスクラスとファーストクラスの両方に乗ってみると、値段ほどの違いがないことに気がつきます。確かにファーストクラスは、シートの広さ、料理やワインの豊富さ、キャビンアテンダントのサービスなどすべてが極上ですが、最近ではビジネスクラスのクオリティも上がっています。
料理やお酒も、種類やゴージャスさは違えど、飲み放題・食べ放題・好きな時間に選び放題なのは同じ。シートもフルフラットになる機体が増えています。
そして料金は、たとえば成田―ニューヨークまでのファーストクラスチケットは往復で約100万円。一方ビジネスクラスは約50万円。所要時間はもちろん同じだし、優先搭乗や優先降機も同じ。ではそこに倍の違いがあるかどうか。
これは、価値と価格の関係が、高級品になっていく過程でどう変化するかを示している一つの例といえます。それは、ある程度の金額までは価格と品質は比例するが、そこを超えると価格の差ほど価値の差はなくなっていく、ということです。
たとえばワインにしても、1本数万円のものまでは、価格が高いほうがおいしい。素人でもわかるくらい味の差は歴然です。しかし10万円を超えるワインになると、飲み比べでもしない限りそれほどの差は感じなくなります。
焼肉でも、1人前480円の格安カルビより、1人前2980円の上カルビのほうが圧倒的にうまい。しかし、それ以上となれば値段の違いほど味の違いはなく、むしろ脂がきつくなって飽きやすいくらいです。
絵画や不動産などの1点モノでなければ、高級品・高額品になればなるほど、価値と価格の差はなくなっていく。そのためでしょうか、お金持ちで高級品に興味がない人も少なくないのです。