教師の仕事は給料分しっかりやってきた

働き方改革で、労働時間を減らそうという話もありますが、そもそも自分で仕事に意味を持たせることができれば、どんなに長時間労働でもストレスにはならないと思います。幸い研究者という仕事は趣味と職業が一致しているので、ありがたいですね。その代わり、ワーカホリックになりがちです。

アドバイザー
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教育と研究の一致、と言いますが、現実には簡単ではありません。給料が支払われるのは教育サービス業に対してであって、研究成果がどれだけ多くても給料には反映しません。ですから教師の仕事は給料分だけしっかりやりました。他のところでどんなに忙しくても、そこがホームグラウンドであることはずっと自覚していました。

組織で働く恐ろしさ

ある官庁を解雇された方がお書きになった本を読んでいて、背筋が寒くなったことがあります。何故かといったら、解雇に至るまでの服務規程違反のリストがずらっと何十も書き出されていたからです。

一つひとつは、出張届を出さずに出張したとか、外部講師の講演料を事前に申請しなかったとか、とても小さな違反です。それも全部守っていたら仕事なんてできなくなるような微罪の集合でした。それでもそういう微罪が数十も並ぶと言い逃れできなくなります。

それを見た時ぞっとしました。どんな人でも、これをやられたらアウトです。それが表面化したのは、内部告発があったからでしょう。身近な関係者しか知らないことばかりでした。ということは、その人は職場に味方がいなかったということです。そうやって職場で孤立したら生き延びられません。

組織にはそういう怖いところがあります。誰かがこいつを突き落としてやろうと思ったら誰でもやられます。日産自動車のカルロス・ゴーンさんだって側近によって追い出されましたから。だから私はいつも周囲に味方をつくるように努力してきました。