老後の支出を徹底的に洗い出す

今度は、老後の支出を計算します。

現役時代に比べて、一般的に老後の支出は減少していくものです。子どもが独立をしたり、住宅ローンの支払いが終わることが大きいといえます。

福岡 武彦、長尾 義弘『定年の教科書: お金 健康 生きがい』(河出書房新社)
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まずは「毎月の生活費」を調べてみましょう。現在の生活費から、子どもの教育費など定年後に必要でなくなる金額を引けば、だいたいの生活費がわかります。

退職前の支出は、給料から毎月の貯蓄額や残高を引くことによって、おおよその目安がつくのではないかと思います。

老後の支出の計算が面倒という場合には、大雑把な方法ですが、「現役時代の支出の8〜7割が老後生活の支出」だと考えてもいいでしょう。つまり、現役時代の支出が40万円だったならば、30万円が老後の支出だという計算になります。

今後かかる費用も計算に入れておかなければなりません。

住宅ローンはいつまで続くのか。子育てがまだ続いている場合は、いつまで教育費を払うのか。奨学金は子どもが返すのか、親が負担するのか……などです。

その他、旅行を計画しているのならば、年に1度なのか、2年おきなのかを考えます。リフォームもまとまったお金が必要になります。子どもの結婚や孫の出産も費用がかかります。思いつく限りの内容を洗い出しましょう。

老後の資産はこうして計算する

現在の資産状況を調べてみましょう。貯蓄の金額はすぐにわかると思います。株や投資信託などをお持ちの場合は、現時点の評価額で計算します。

不動産をお持ちの場合は、市場価格になります。投資用のマンションなどは、毎月の家賃収入が資産です。

個人年金保険は、受け取る金額を書き出してください。終身保険などの貯蓄性商品は解約返戻金の金額が資産になります。

退職金も資産に入ります。これは老後資金の中で大きなウエイトを占めます。

だいたいの退職金額を出してください。金額がわからない場合は、人事部などに確認すれば教えてくれます。

企業年金を一時金で受け取る場合も資産になります。また、iDeCo(イデコ)などの確定拠出年金もそうです。養老保険などの一時金も、定年後の資産になります。

これらの合計金額が、老後資金ということになります。