6割以上が「家族の一体感に影響なし」

「夫婦同姓制度は、夫婦でありながら妻が夫の氏を名乗れない別姓制度よりも、より絆の深い一体感ある夫婦関係、家族関係を築くことのできる制度である」「家族がバラバラの姓であることは、家族の一体感を失う」というような反対派の請願書が過去に国会に出されている。姓が同一でなければ一体感が失われ、子供の健全な成長に影響を与えるという主張は、家族の形が多様化している現代社会においては説得力がない。

内閣府が2017年に実施した世論調査では、64.3%の人が、家族の姓が違っても一体感に影響がないと思うと答えている。また、第5次計画のために寄せられたパブリックコメントには、選択的夫婦別姓を望む声は400件以上集まり、反対派の意見はゼロだったという。

それでも、このような反対派の主張が繰り返される背景には、夫婦別姓に強く反対している保守系支持団体の存在が大きいという話を聞いた。

また、この問題をさらに難しくしているのは、推進派の議員が思い描く夫婦別姓の形が違うということがある。

夫婦別姓といっても、戸籍にどう表記するかを含め、さまざまな制度案がある。たとえば、完全に夫婦を別姓としてそれぞれの姓を同列に表記する案、原則同姓で別姓を望む際には家庭裁判所の許可を必要とするという「家裁許可夫婦別姓」案、また、戸籍の中に結婚した夫婦同一の姓を書くが、その横に「社会的に~と名乗ることにする」と別の姓を説明書きとして加える案、旧姓を欧米のミドルネームのように使う案など、夫婦別姓に賛成している議員にもそれぞれの案への思い入れがあり、一枚岩ではない。

反対派は現行法維持で一致しているのに、賛成派が団結して戦えないという皮肉な構図が見えてくる。