流行りに乗って「理想買い」しないように

株式というのは面白いもので、その会社が非常に優れたビジネスモデルを持っていたり、まだ開発の段階だけど画期的な新商品や新薬の開発が見込めたりする場合は、現実の業績が伴っていなくても先行きを見越して上がることが多いのです。これは「理想買い」といわれる局面です。ところがその後は業績が思うように伴わないために下がり、しばらく低迷しますが、後になって現実に利益が出て業績が伴ってくると上がるということもよくあることです。これが「業績買い」と言われるものです。

例えばソフトバンクが2000年の前後に株価が20万円以上をつけたのは「理想買い」の段階だったと言えるでしょう。そしてその後株価が大幅に下落し、しばらく低迷を続けたものの、その後に取り組んだ携帯電話事業が中核となり、着実にキャッシュを生み出す企業になってからは再び上がってきた。これは「理想買い」から「業績買い」に移行した良い例と言えるのではないでしょうか。

テーマ型ファンドにおいても本当にしっかりと長期に継続しそうなテーマのものであれば、長期投資として買っておくのも悪くはないと思います。ただしその場合でも理想買いで盛り上がっている最中にわざわざ高値を買いにいく必要はありません。理想買いの後に一旦株価が下がった時に買えばいいからです。

結論として、長期的に資産形成を目指す一般投資家は短期的な人気に左右されるテーマ型ファンドを買わないほうが賢明でしょう。“流行りもの”に飛びつくと、ろくなことはないというのは投資の世界でも真実だからです。

大江 英樹(おおえ・ひでき)
経済コラムニスト

1952年大阪府生まれ。オフィス・リベルタス創業者。大手証券会社で個人資産運用業務や企業年金制度のコンサルティングなどに従事。定年まで勤務し、2012年に独立後は、「サラリーマンが退職後、幸せな生活を送れるように支援する」という理念のもと、資産運用やライフプランニング、行動経済学に関する講演・研修・執筆活動を行った。日本証券アナリスト協会検定会員、行動経済学会会員。著書に『投資賢者の心理学』(日経ビジネス人文庫)、『定年男子 定年女子』(共著・日経BP)、『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)、『お金の賢い減らし方』(光文社新書)など多数。2024年1月没。