2度目の緊急事態宣言では、1度目の時ほど人出を抑えられてないことがわかってきた。14日に西村経済再生担当相が公表したデータからも、一都3県の主要駅での通勤時間帯の人出の減少は1回目と比べて限定的だった。テレワークへの切り替えなど、2度目のほうがスムーズと考えがちだが、なぜ効果が薄いのか――。
横断歩道を歩く群衆
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長期間、神経を張り詰めていることはできない

一都三県を対象に出された緊急事態宣言に、あらたに二府五県も加えられました。おそらく今後、対象地域が増えていくことでしょう。

その理由は、4月の緊急事態宣言の時には、国民の側にも「しっかり自粛しなければ」という気持ちがあり外出の自粛が進みましたが、今回の宣言下では「気の緩み」が見られるからです。政府が緊急事態宣言を出しても、不要不急の外出をやめてくれないのでは新型コロナを抑え込めるはずがありません。

では、どうして「気が緩んでしまう」のでしょうか。ここでは3つほど、心理的な理由を紹介していきたいと思います。

まず一つ目は、「慣れの効果」。私たちは、そんなに長期間、神経を張り詰めていることができません。コロナウイルスが危険だということはわかっていても、そういう「リスク認知」は、どんどん弱くなっていくのが普通です。

「リスク認知」は時間とともに弱くなる

たとえば、こんな研究があります。

ポルトガルの心理学者マリア・リマは、新しいごみ焼却炉が建設され、稼働し始めてから5年間にわたって、周辺住民のリスク認知を追跡調査してみました。

すると、最初のうちこそ、住民たちも「何か、汚染のようなものがあるのでは?」とリスクを認知して、ビクビクしていたのですけれども、そのうちリスクを感じなくなってくることがわかりました。5年も経つと、「まあ、大丈夫だろ」と思うようになってしまったのです。

2回目の緊急事態宣言が、そんなに効果があるようには思えないのも、国民の「リスク認知」が低下しているからではないでしょうか。