※本稿は飯田裕貴子・眞鍋葉子『感染症時代のマスクの教科書』(小学館)の一部を再編集したものです。
マスクでできること、できないこと
感染症のリスクが身近に迫る時代において、私たちはマスクとの付き合い方をどのように考えていけばよいのでしょうか。
科学の進化にもかかわらず、大正時代にインフルエンザが流行したときと現代の感染症対策は、基本的には、ほぼ同じ「手洗い、うがい、マスク着用」です。今後も、大きくは変わらないのかもしれません。
また高機能なマスクさえ着ければ、100%安全で感染しない、ということにはなりません。
そこで今一度、現在最も多く使用されている不織布マスクのできること、できないことについて、ご説明していきます。
できることのひとつ目は、「咳やくしゃみなどで飛散するウイルスなどを含む飛沫を抑える」です。マスクのこの効果が、今回の新型コロナウイルス感染症では評価されました。咳やくしゃみで飛ぶ「飛沫」というのは、直径5μm以上の大きさの粒子を指しています。
ふたつ目は、「咳やくしゃみなどで飛散する、ウイルスなどを含む飛沫から防護する」。咳やくしゃみなどの飛沫は平均2m程度飛散すると言われています。またマスクをすることで発生源から飛沫が飛んできたとしても、着けたマスクでブロックすることができます。
「鼻やのどの乾燥を防ぐ」効果もあります。ウイルスを吸い込むこと=感染、ではありません。免疫がウイルスの増殖を抑えることができなかった場合に、発症します。のどや鼻の粘膜の乾燥を防ぐことで免疫が働きやすくなり、ウイルスなどが増殖しにくくなります。ウイルスを吸い込んでしまったとしても、マスクをすることで感染を抑えやすくなるのです。