③何でも自分で考える
これはサラリーマンでなくても大事なことです。ただ、前回お話したような自営業や企業経営者の場合、誰も何も教えてくれないし、指示もしてくれませんから自分で考えて判断するしかないので、必然的にこの習慣は身に付いています。ところが、勤めている人はなかなかそういうわけには行きません。やはり上からの指示がないと動けないというのは仕方のないことです。長年にわたって仕事で上からの指示を受ける習慣が身に付いていると、何事においても誰かに聞きたくなるのは当然だからです。
でも資産を作るために投資をするのであれば、絶対に自分で考えて判断しないとだめなのです。なぜなら人に聞いて投資をした場合、そしてそれがうまく行かなかった場合は、後悔が残るからです。さらにもっと悪いことは成功しても失敗してもそれに学ぶということができないからです。「何か儲かる銘柄はないですか?」とか「どうやったらお金が貯まりますか?」みたいなことを聞く人は永遠にお金持ちにはなれません。失敗もしながら何でも自分で考えるということが何よりも大切なことなのです。
よく金融資産を1億円以上こしらえた人を「億り人」と言いますが、私の実体験では会社に勤めながら億り人になった人はたくさんいます。それどころか10億円以上金融資産を作ったという人も何人も知っています。そういう人達に共通するのはいずれもこれらの3つの行動習慣や性格を持っているということです。特に②と③は持って生まれた性格もあるでしょうし、それなりの経験をしないと身に付かないという面もありますが、会社に勤める人であれば①の天引き貯蓄だけは誰でもすぐに実行が可能です。まずは自分にできる身近なことから始めてみるということも必要なのではないでしょうか。
大手証券会社に定年まで勤務した後、2012年に独立し、オフィス・リベルタスを設立し、代表に。資産運用やライフプランニング、行動経済学などに関する講演・研修・執筆活動などを行っている。近著に『定年前、しなくていい5つのこと』(光文社新書)など。