大荒れだった2020年のアメリカ大統領選挙は、11月3日の投票日から4日後の7日、ようやく民主党のバイデン氏の勝利が確実と報道されました。元ジャパンタイムズ執行役員のジャーナリスト、大門小百合さんが、この日のカマラ・ハリス次期副大統領の印象的なスピーチのほか、トランプ、オバマら、アメリカのリーダーたちのスピーチを解説します。
2020年11月7日、バイデン候補の勝利が確実になったことを受けてスピーチするカマラ・ハリス氏
写真=AFP/時事通信フォト
2020年11月7日、バイデン候補の勝利が確実になったことを受けてスピーチするカマラ・ハリス氏

一気に注目を集めたハリス氏のスピーチ

ジャマイカ系とインド系のルーツを持ち、有色人種の女性として初めての副大統領候補となったカマラ・ハリス上院議員が、11月7日、白のパンツスーツで登場し、「私は初めて副大統領になる女性かもしれないが、最後にはならない。今夜これを見ているすべてのちいさな女の子たちが、アメリカは可能性の国だと理解するからだ」と勝利宣言をしたこの演説。日本でも大きなニュースになったのでご存じの人も多いだろう。

ハリス氏は副大統領候補になってから女性、そして黒人ということで注目されていたものの、アメリカのメディアの報道はやはり、トランプ大統領とバイデン候補が中心だった。ところが、この日の演説にはアメリカメディアも注目。世界中の女性たちがこのスピーチにエールを送った。なぜそこまでこのスピーチが人々の心をひきつけたのだろう。連載第1回の今回は、アメリカのリーダーの演説について考えてみたい。