最も注意が必要なのは、証拠として残るデータ

新時代の新しい働き方に合わせて、テレワークにおいては今以上に経営者と社員、管理職と部下との信頼関係を構築しなければならない。人間関係とコミュニケーションが今以上に必要になるということである。

京都大学の若林直樹教授も、テレワークが成功するかどうかのポイントは、リーダーと部下とのコミュニケーションと信頼関係の強化であると言っている(「日本経済新聞」2020年8月11日付朝刊)。

最後にひとつ注意すべきことがある。画像や文字など上司と部下のやりとりの記録が残ることである。これはテレワークに限ったことではなく、これまでもメールなどでのやりとりは記録に残っていた。ただテレワークが広がると、それだけ記録に残ることが多くなるのは間違いない。

このことはハラスメントについて言えば、それだけやりとりが証拠になって残るということを意味する。テレワーク時代では画像やメールなどのやりとりは感情的になることなくより慎重にしなければならない。

井口 博(いぐち・ひろし)
弁護士

1949年生まれ。東京ゆまにて法律事務所代表弁護士。一橋大学法学部卒。同大学院を経て1978年から1989年まで裁判官・検事。1992年ジョージタウン大学大学院修士課程修了。第二東京弁護士会登録。元司法試験考査委員。ハラスメントに関する著作、論文多数。