今注目の成長株タレント
【原田】マネジメントしている人の中で、成長株がいれば教えてください。
【小島】まずは知哉くん。TikTokで活躍していたのですが、AbemaTVの高校生版リアリティショー「恋する週末ホームステイ」に出演し、そこからブレークしました。その番組内で彼女ができたのですが、今では自身のアカウントで、彼女も登場するようになりました。最近だと、若い方たちに訴求したいという行政のPR動画で、二人が出演しています。各SNSアカウントもフォロワーがすごく伸びています。
もう一人はゆでたまごさん。もともとライブ配信をしていたのですが、TikTokやYouTubeをやりたいということでわれわれのところに所属してもらった経緯があります。男性から人気が出て、Natee内でもっともフォロワーが伸びました。今は女性ファンもつけたいということで、方向を考えているところです。
知哉くんはテレビへの露出を増やしたいということでAbemaTVなど他の媒体に積極的に出ていますが、ゆでたまごさんはビジュアルが強いので、TikTokやYouTubeに絞っています。
人類総タレント化の時代へ
【原田】TikTokのこれからをどのように見ていますか。
【小島】インターネットは世の中をオープンでフラットにしました。YouTubeはテレビだけに許されていた動画放送を誰もができるようにしましたし、Instagramでは、かっこいい雑誌媒体の代替のようなコンテンツが誰にでも作れるようになりました。そしてネットタレントを使ったプロモーションが盛んになり、誰もが広告主になれる状況ができあがりつつあります。今後、誰もが自分のブランドを持てる時代になっていくと思います。
メルカリでは使ったものを中古品で出品することができますが、今後は中古ではなく、かっこいいブランドサイトとオリジナルの商品を、一般の人たちがどんどん作っていくという形に変わっていきます。その中で、TikTok含めSNSの力は強くなり続けるでしょう。
若い人にとってSNSはもはや空気みたいなものなので、使う・使わないという話ではなく、それがないと生きられないという存在になっている。そこに対する考え方は、企業さんも変えていかないといけないと思います。若い人たちはそのチャンスをものにしていけるか、ですね。
私たちは「人類をタレントに!」というミッションを掲げているのですが、誰もがやりたいことでお金を稼げる社会にしたいなと思っています。
構成=藍羽笑生
1977年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーを経て、現在はマーケティングアナリスト。2022年より芝浦工業大学教授に就任。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。主な著作に『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(幻冬舎新書)、『パリピ経済 パーティーピープルが経済を動かす』(新潮新書)、『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』(光文社新書)、『寡欲都市TOKYO』(角川新書)、『Z世代に学ぶ超バズテク図鑑』(PHP研究所)などがある。
早稲田大学国際教養学部卒。2016年にビズリーチに新卒入社し、新規事業のプロダクト開発にエンジニアとして携わる。ショートムービーの勃興と、個がメディアになり活躍する未来を強く信じNateeを創業。