フォロワー数より大切なこととは
【原田】どうやってタレントを発掘しているのですか?
【小島】独自のツールを用いてリスト化し、そこから良さそうな人を見つけて、声をかけています。スカウトの目安は、第一に「TikTokのフォロワーの数が多いこと」、そしてコスメなど「特定のジャンルに強いこと」です。また、「炎上しないこと」も重要です。企業からの案件の場合は、「自由にやりたい」という気持ちが強い人だと難しいです。
【原田】リストに上がるフォロワー数の基準はありますか。
【小島】今だと、最低10万フォロワーは必要です。所属タレントの何人かは100万フォロワーを超えています。
【原田】どうやってタレントを育てるのですか。
【小島】TikTokにおける収入は2種類しかありません。一つは企業からの広告案件を受けることによる収入で、もう一つは自身のファンに対してグッズやイベントを販売することによる収入です。前者の場合も、それぞれのファンに対して商品を紹介してほしいという話になるので、結局どれくらい濃いファンがついているかが問われます。
フォロワー数は大事な数字ですが、それ以上に、紹介したものを買ってくれる人が何人いるかが重要です。たくさん買ってくれるようなファンを得るためには、普段のコミュニケーション、情報発信の質が大事になるので、そのあたりをサポートしているのがうちの会社になると思います。あまりそういうところまでフォローしている会社がないので、われわれはデータを見ながら、効果が出る人に対して提案をしています。
【原田】フォロワー数が多い人の動画のほうが、大きな反響を得られるわけではないのですね。
【小島】数よりも、特定層にリーチできるかどうかが大切です。極端な話ですが、フォロワーが100万人いても、タレントにパワーがない場合は宣伝しても何も売れないというケースもあるんです。
流行り廃りの速度が速いことが特徴
【原田】そういった濃いファンを持つにはどのような工夫が必要なのでしょうか。
【小島】一つ言えるのは、ファンとどう向き合っているかが重要だということでしょう。10万フォロワーがついたからといって、その人が偉くなるわけではないのですが、勘違いして人間性が変わってしまう人がいます。そういう変化にはファンも敏感に反応するので、どんどん離れていく。流行り廃りの速度は速まっている印象があります。
【原田】テレビタレントよりも速いですか?
【小島】速いと思います。テレビで取り上げられる頃には、SNSではもうそれほど人気がないという人もいますね。
【原田】抱えているタレントさんは、TikTokからテレビに進出するというのが主流なのでしょうか。
【小島】私たちが見ている範囲では、それが主流になりつつあります。既存の芸能事務所だと、テレビ映えする人を発掘していると思うのですが、われわれのような事務所はTikTokで人気が出るのが先で、その後に他の媒体に出るという流れになります。