健康保険の保険料は変わらない

標準報酬月額は、公的年金だけでなく、健康保険の保険料を計算にも使われます。

ただし、厚生年金に使われる標準報酬月額が35等級までなのに対し、健康保険では50等級まであり、62万円を超える人(65万円以上の人)にも従来相応の保険料がかかっています(今回、保険料の引き上げはありません)。

健康保険の保険料は、40歳未満の人では標準報酬月額の9.87%(東京都協会けんぽ)、40歳以上では介護保険の保険料が加わるため、同11.66%となります。例えば標準報酬月額が30万円の人は40歳未満なら2万9610円(自己負担は半額の1万4805円)、40歳以上では3万4980円(同1万7490円)です。標準報酬月額が65万円の人は40歳未満なら6万4155円(自己負担は半額の3万2077円)、40歳以上では7万5790円(同3万7895円)となります。

給付については医療機関の窓口で支払う自己負担分は一律3割負担ですが、傷病手当金や出産手当金については、標準報酬月額によって給付額が変わってきます。

傷病手当金とは、病気やケガで一定期間働けない場合、4日目から最大1年半、給付されるものです。支給額は標準報酬月額÷30日×3分の2です(給料は支払われている場合は、給料との差額を給付)。

出産手当金とは、産休を取得し、産休中の給料が減額になったり、ゼロになったりした場合に、健康保険から支給されるものです。産休中の給料がゼロの場合で、標準報酬月額÷30日×3分の2の額が、原則98日分、支給されます。産休中に給料が減額された場合の支給額は、標準報酬月額÷30日×3分の2から給料の日額を引いた額(支給日数は98日分)となります。

つまり、保険料を多く払うことで給付も手厚くなる、というわけです。給付を受ける機会がなければ負担が増えるのみですが、「保険」という性質上、この点は仕方ありません。

たくさん稼いで年金を増やす

厚生年金の保険料は標準報酬月額の18.3%、健康保険の保険料は同9.87%(東京都協会けんぽ。介護保険料を含めると11.66%)と、負担は小さくありません。しかしその半分は会社負担ですから、保障を半額で買っているとも言えます。また社会保険料負担が増えると、年末調整で受ける社会保険料控除も増え、所得税や住民税の負担は軽減されます。

前述のとおり、年金や給付金が増えるメリットもあり、とくに男性より長生きの傾向がある女性は、終身で受け取れる公的年金額を多くしておくほど、安心感が高まります。負担が増えるのはいやだと思いがちですが、たくさん稼いで、たくさん保険料を払って、年金を増やす。そういった前向きな姿勢が大切だと思います。

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井戸 美枝(いど・みえ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)

関西大学卒業。社会保険労務士。国民年金基金連合会理事(非常勤)。『大図解 届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください』(日経BP社)、『残念な介護 楽になる介護』(日経プレミアシリーズ)、『私がお金で困らないためには今から何をすればいいですか?』(日本実業出版社)など著書多数。