在宅勤務が当たり前になったアメリカでは、都市部から郊外への転居が増えているという。一方で、緊急事態宣言解除後に出社へと揺り戻しが起きている日本。この違いが、人々の「クオリティ・オブ・ライフ」に大きな違いをもたらす――。
マイアミ、フロリダ州の庭とプール付きのモダンな2階建ての一戸建ての家の裏庭の眺め
※写真はイメージです(写真=iStock.com/JohnnyGreig)

クオリティ・オブ・ライフを求めて都市部から郊外へ

米国内で、都市部から郊外に転居する人が目立っている。新型コロナウイルス禍の中、長期化する在宅勤務=ワーク・フロム・ホーム(WFH)が、もはや常態化しており、パソコン一つで仕事ができるのなら、どこで暮らしても同じという発想だ。豊かな自然や快適な住環境、そして安い家賃を求めて、NY・マンハッタンから隣接のニュージャージー(NJ)州、西海岸・サンフランシスコから近郊に引っ越した人らの話を最近よく聞く。必要に迫られた働き方の激変が、生活そのものを変え、居住地の選択にまで影響を与える流れを見ると、人間が本来持つべき「クオリティ・オブ・ライフ」(生活の質)は何かということを考えさせてくれる。

8月上旬、筆者宅に届いたニューヨークタイムズの別刷り(不動産)1面には、郊外で撮られた8枚もの写真が並び、目を引いた。記事では、ニューヨーカーにとって郊外に引っ越すかどうかの問題は「whether(するかどうか)」ではなく、「when(いつ)」であり、今は「where(どこへ)」に急速に変わってきていると指摘。「私たちは(もう)準備ができている」との電話が掛かってくるようになった、との不動産エージェントの嬉しい悲鳴を紹介している。

マンハッタンまで2時間以内で移動できる上、子どもの学校教育環境、ソーシャルディスタンスを考える上で重要な人口密度などを考慮し、勧める移住先として文中で挙げられたのは、ニューヨーク、ニュージャージー、コネチカット各州の計8つの街。プール付きの豪邸、綺麗に刈られた芝生が敷き詰められた広大な庭、徒歩範囲内には森や湖などの大自然が広がる。