同時・双方向型オンライン指導を行う教育委員会は5%
学校種(小学校なのか、中学、高校なのかなど)によってもちがうだろうし、様々ではあるが、みなさんの周りの状況はいかがだろうか。文部科学省の調査によると、4月16日時点での休校中の取り組みとして、同時・双方向型のオンライン指導を行っている教育委員会は5%であった(図表1)。これは新聞などでも報道されたが、あまりにも消極的ではないか、と思われた方が多いと思う。
データで確認できているわけではないので、断定はできないが、私立学校や大学、あるいは学習塾のほうがオンライン対応の動きは早い印象をもつ。「授業料を返還せよ」と言われかねないし、真剣だ。これに対して「公立学校、教育委員会はなんで、鈍いんだ、遅いんだ」とムカムカしている保護者も少なくないと思う。
「全員に同じようにできないから、やらない」という発想
これには、いくつか理由、背景はあるのだが、教育委員会や学校に広く信仰されている「平等重視」もおそらく大きい。「ウェブを活用するものは、家庭にパソコン、スマホやネット環境がない子たちができないので、不平等になる。だからやらない」という理屈である。
たしかに、家庭の状況への配慮はとても重要だ。だが、そう言っている教育委員会等のうち、果たして何パーセントが、学校や図書館等のパソコンやネット環境をそういう子どもたちに開放しただろうか。自治体によってはポケットWi‐Fiを貸し出したところまであるが、管見の限りごく少数だ。
平等が大事だからといって、立ち止まっていては、進ちょくはゼロである。結局、家庭任せになると、家庭の経済状況や教育熱心さで格差が広がり、結果としては、もっと不平等になる。
公立学校であれば、なおさら、自宅で学ぶ環境がなかなか整わない子への支援を手厚く進めるべきだ。それは、パソコンやネット環境だけの問題ではなく、家が落ち着かない状態でとても勉強にならない家庭とか、保護者と子どもとの関係が悪いケースなどについても言える。
ついでに申し上げると、給食についても、せっかく施設・設備はあるのだから、テイクアウト販売をやってみてはどうか。感染拡大地域で職員が出勤するリスクが高いところは難しい話だが、そうではない地域では十分に検討できる話かと思う。これは子どもの貧困への支援という意味合いではなく、すべての児童生徒の家庭に対してしてほしい。お母さん、お父さんたちにとって、お昼ご飯の手間だけでも緩和されると、ずいぶんストレス緩和になるのではないだろうか?