とにかく支出をきちんと把握すること
では、「自分のお金まわりのこと」と言っても一体何をやればいいのでしょうか。実はそれほど面倒なことではありません。結論から言ってしまえば、「支出をちゃんと把握すること」です。
私は常々会社に勤めるサラリーマンやビジネスウーマンは、自営業やフリーランスの人達に比べてはるかにお金を貯めやすいということを言っています。その理由はキャッシュフローが読みやすいからです。つまりお金の入と出が把握しやすいということです。このうち、“入”は簡単ですね。毎月のお給料はほぼ決まっています。中には歩合制の人もいるかもしれませんが、ほとんどの方は固定給です。今回のコロナ禍でも自営業やフリーランスの人は収入が大幅に減って大変な苦労をしていますが(私も3月と4月の収入は8割減です)、会社勤めの人は今後のボーナスに影響が出るかも知れませんが、すぐに給料が大幅に下がることはないでしょう。問題は“出”の方です。
9割の人が支出をきちんと把握していない
この“出”も自営業の人達はなかなか読めません。なぜなら商品の仕入れや設備投資から始まって、取引先との会食や贈答といった支出はその多くが自らのビジネスに関わることなので、あらかじめ決まっていて読めるものではなく、状況次第で大きく変わるからです。
ところが勤め人の場合の支出はあくまでも自分の生活に関するものだけですから、コントロールがしやすいのです。とは言え、多くの人は支出の管理をきちんとできていないようです。私自身、年間140回を超える講演をしていますが、そんな際に「みなさんは家計簿をつけていますか?」と聞くと、手を挙げる人は1割くらいしかいません。実際こんなものなのでしょう。それでも何とかやっていけています。なぜなら毎月決まった給料が入ってくるからです。これは企業で言えば日銭の入ってくる業種なので、お金がなんとなく回っているのと同じです。
しかしながら家計簿を付けていない人というのは企業で言えば財務諸表を作成していないのと同じことですから、当面は何とか回っていてもいずれ破綻の可能性が出てきます。貯められない人、老後資金が不安な人というのはいずれも「支出の管理」が出来ていないからそうなるのです。支出の管理というのは何も節約しなさいとか、ケチケチしなさいということではありません。要するに自分のまわりのお金の流れを把握し、どこに無駄があるかを知っておこうということです。