ユニコーンの化けの皮もはがれ……
こうして上場株が上がりすぎると、資金は別の動きをする。それがユニコーンだ。設立10年以内の時価総額1000億円企業。これが現在世界に330社もあるという。行き場の失った金はここに向かう。それも、金余りの中国と、孫さんのファンドがジャンジャン投資するから、つられて大人の米系ファンドも買う。ただし、ほとんどのユニコーン企業はたいした利益など出ていないのが実態だ。
たとえばウーバーなどのシェアライドは、創業以来一度も黒字化したことはない。元々、手の空いた主婦や学生が自家用車を利用して小金を儲けるものだった。ところが利用者が増えるとそれではドライバー不足になるから、今は、移民や貧困層が専業で運転している。それでもタクシーより安く使えるその理由は「彼らの給料が低い」から。それだけのビジネスモデルなのだ。こうした窮状を救うために方々でドライバー労組が生まれ、もう青息吐息。だから、上場前の想定価格の1/3にしか時価総額はなっていない。
コロナがなくても潰れていた
それでもまだ彼らはいい方で、WeWorkなどという華美なバーチャルオフィス会社は、あまりにも会費が高くて会員が集まっていない。結果、上場できずに、資金不足で孫さんに泣きつき、昨年11月に860億円の資金補填で生き延びた。
中にはBirdなどという「電動スケボのシェアライド」でユニコーンになっている企業さえもある。
こういうめちゃくちゃな状態に対し、金融筋からは、「それでも2000年前後のITバブルよりはいい。あの頃は事業さえしていない企業が目論見書だけで上場していた」と擁護の声も出る。
でも、そういうレベルだから負債も少なかったともいえる。今回は、下手にビジネスをしていて、それが社会に浸透していたりもするから、負債額はどんどん大きくなる。
どうだろう? 借金して自社株買いして財務体質は最悪になった大手と、張りぼてのユニコーン。もうそういうインチキ株高も潰れるか、という時期だったのだ。コロナ禍がなくても潰れていた。株価は3~4割下がって、正常に戻るだけのことだ。