男性が圧倒的多数を占める日本の国会で、男性議員が自らの議席をあきらめてまで女性議員の数を増やすことは期待できそうにない。政党内部から変化が起こらないのだとすれば、外側、つまり有権者の側から変化を促すしかない。政治とジェンダーの問題に詳しいお茶の水女子大学准教授の申琪榮さんに、そのための方法について聞いた。

地方で保守化が進む構図

前の記事でも述べましたが、政党の内部から変わることを待っていても、なかなか期待できません。そうであれば、外側から女性の声を集め、女性議員を政治の場に送り込んで変えていくしかありません。

お茶の水女子大学 准教授 申琪榮さん
お茶の水女子大学 准教授 申琪榮さん

国会議員は、約9割が男性で平均年齢も高いですが、地方議会の議員はもっと男性中心で高齢化が進んでいます。東京都などの都市部は女性議員の比率が高く、20%を超えていますが、全国の議会の約17%には女性議員が1人もいません。地方政治の世界では、まだまだ家父長制が根強く、家父長制に抵抗を持つ若い人たちは都市部に行ってしまうので、さらに地方の保守化が進むという構図になっています。ちなみに、1996年に選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案が発表されたときには、多くの地方議会で反対決議案が可決され、自民党の地方支部からも大反対の声が挙がって断念されました。

しかしその一方で、女性を政治に送り込むうえで、地方議会は国会よりもハードルが低いのも確かです。まずは地方議会で政治家としてのキャリアを積んでから国政を目指すのは良いと思います。国会議員となると、さまざまな力学が働き、やりたい政策を実現するのは難しいですが、地方なら生活に直結する政策に関わることができますし、やりたいことができるという面もあります。