さまざまな分散投資を理解する
積立投資に投資信託が適している理由は、個人で複数の株式を購入するよりも小さな金額で幅広く分散することができるからです。複数の銘柄を併用する考え方は「銘柄分散」といいますが、分散の手法は投資対象の銘柄分散だけではありません。
株式と債券といった異なる資産クラスを組み合わせる「資産分散」、対象地域を分けて投資する「地域分散」、さらには投資タイミングを分ける「時間分散」(これは積立投資に通ずる手法です)などさまざまあります。真に適切な分散投資とはこれらの手法を証券投資理論に立脚して定量的に最適な組み合わせを志向してポートフォリオとして構築する、極めて高度な専門性を要する運用手法なのです。
資産運用のプロがその作業を代替して管理してくれる投資信託は、一般生活者にとって適切な選択と言えるのではないでしょうか。
最適な投資信託とは
長期積立投資の基本に戻って考えてみましょう。投資信託とはいえ、最適な分散投資には画一的な正解があるわけでなく、各人が受容できる損失可能性の度合い(リスク許容度)と、目標とする運用成果(期待リターン)の兼ね合いにもよります。資産運用業者ごとに最適と考える分散手法も千差万別で、それが資産運用の難しさでもあり、多様性の競演という魅力でもあるのです。
ただ投資信託を積み立てで持てばいい、といった単純な発想では合理的な分散効果を享受することはできません。何のために「長期積立投資」をするのかをしっかりと考えて選ぶことで、ご自身にとって最適な投資信託を見つけることができるでしょう。くれぐれも「流行っているから」「最近の騰落率が良いから」という短期、投機的な目線で選択しないように注意してください。
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1963年生まれ。東京都出身。明治大学卒業。1987年、現在のクレディセゾンへ入社。セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用のほか、外国籍投資信託をはじめとした海外契約資産等の運用アドバイスを手がける。その後、クレディセゾン インベストメント事業部長を経て、2006年にセゾン投信を設立。2023年6月に代表取締役を退任。セゾン文化財団理事。著書に『最新版 つみたてNISAはこの9本から選びなさい』(ダイヤモンド社)などがある。