「対話」を効果的にする4つのステップ

対話のプロセスは「溝に橋を架ける」という行為になぞらえることができます。

仮に組織の中の異なる部門の代表同士が対話すると考えると、それぞれの部門ごとのナラティヴ(解釈の枠組み)が互いの足場のようなもので、両者の間には溝があります。このナラティヴの溝(適応課題)に橋(新しい関係性)を築く行為が、対話を実践していくことなのです。

この「溝に橋を架ける」ためのプロセスを、大きく4つに分けることができます。

準備:自分の常識を脇に置き相手との溝に気づく

まず、色々な手段を実行しようとしても、相手が言うことを聞いてくれない、なかなか動いてくれない、話が通じない場面に直面した場合、一旦、自分のナラティヴを脇においてみる対話の「準備」が大事です。どうしても自分のナラティヴ、つまり専門性や職業倫理などの枠組みで、問題や相手を見ている間は、冷静に状況を把握することができないものです。

一度、引いた目で周りを見渡してみて初めて、わかりあえない人々との間に、大きな溝があることに気づくのです。

自分のナラティヴを脇に置き、相手との間の溝に気づき始めたときが、「私とそれ」の関係から、「私とあなた」という固有の関係に少し変化をした瞬間です。自身のナラティヴに囚われていたときには気づかなかった、相手ならではの事情や状況、つまりナラティヴが少しだけ姿を現すはずです。

適応課題である溝は、気づきづらく、認めづらいもの。しっかりと、溝に向き合わなければ、次の段階に進めないことがよくあるのです。