仕事は1人じゃできない。素直に人を頼る

大学時代、グーグル創業者と同じ「複雑ネットワーク」という学術分野の研究に携わった平野未来さんのビジョンは明快だ。

シナモン社長 平野未来さん

「技術の力で世界を変えたい」

その思いを彼女は着実に実現しつつある。2012年、AI(人工知能)ビジネスを手がけるシナモンを創業。「ホワイトカラーの生産性を向上させること」を目標に掲げ、文書読み取りシステムを筆頭に、面倒な事務作業を減らすための画期的なプログラムを開発している。優秀な人材に富むベトナムに開発拠点を置き、現在のメンバーは国内外合わせて160人。「3年後にはAIエンジニアを500人に増やす構想です。世界一のAI会社になれるはず」

壮大な展望をさらりと語る姿はリーダーとしての風格をまとっている。平野さんにとってシナモンは2社目の起業。今、技術系かつ女性のシリアルアントレプレナー(連続起業家)として注目されているが、浮き沈みも激しかった。過去には倒産の危機に直面し、資金繰りに奔走した時期も。しかし事業が時代の潮流に乗った同社は19年、約15億円の資金調達に成功。「苦労したのでは?」と尋ねると、軽やかに答えが返ってきた。