子どもとスポーツがしたい男子たち

【原田】もうひとつ気になったのは子どもについて。男子は全員子どもがほしいのに、女子は2人とも「ほしくない」と言い切っているね。男女両方の理由が知りたいな。

「子どもとキャッチボールがしたい」という塩田くん。
 

【塩田くん】あくまで「子どもは授かりもの」という認識が強く、何が何でも子どもが欲しいという訳ではないです。ただ、僕は小さい頃野球をやっていて、父とキャッチボールした週末がすごく楽しく幸せな思い出として残っていて、それが幸せな結婚のイメージと直結しています。子どもができたら、男の子でも女の子でも沢山の思い出を築きたいです。

【伊藤くん】僕の両親はよく運動会やバスケの試合に応援に来て、すごく楽しんでいました。あまりの熱心さに恥ずかしい思いもしましたが(笑)、それは僕にとっても親との楽しい思い出なんです。だから、自分も子どもと楽しい思い出を共有したい。スポーツを応援したり一緒に走ったりしたいので、できれば背が高くて、運動神経がいいとうれしいですね。

【富山くん】僕は、両親には苦労させてしまった部分が多いと思いますが、僕がサッカーの試合でゴールしたときや受験で合格したときは僕よりも喜んんでくれて、そんなやりがいが感じられる子育ては楽しいんだろうなと感じるようになりました。

女子が子どもは欲しくないと言い切る理由

【田中さん】私はずっと働き続けたいんですが、育児と両立できるとは思えなくて……。実際に子育てしている世代を見ると大変そうだし、今の学歴社会の中で、子どもの多様な生き方を応援してあげられる自信もありません。あと、自分が人と仲良くなるのに苦労してきたので、私の遺伝子を受け継いで幸せになれるのかなっていう不安もあります。

「育児と仕事を両立できるとは思えない」と語る田中さん。

【羽山さん】私は単純に小さい子が苦手なんです。自分の子はかわいいよって言われますけど、もし産んだ後にそう思えなかったら……って不安がある。それに、万が一子育てをしたら「こんなに世話してあげてるのに」と思うか、完全に放任しちゃうか、どっちかになりそうで怖いです。

【原田】羽山さんは、ご両親が離婚していることも関係しているのかもしれないね。田中さんは仕事を優先したい気持ちがあるそうだけど、国が少子化対策や両立支援に取り組んでいることについてはどう思う?

【田中さん】国のために子どもを産む気にはなれないですね。まだ大したこともしてもらっていないのに恩返ししてって言われても、子育ての大変さを考えたらとてもその気にはなれないです。

【原田】子どもについても、男子は夢があるのに女子はまったくないね。印象的だったのは、女子は子どもを持つことの楽しさよりも、子育ての大変さのほうに意識が向いていること。一方、男子は子どもとの「楽しい思い出づくり」がメインになっている。結婚と同じように、意識に大きな隔たりがあって、少子化が進むのも当然の結果に思えるよ。

若者たちの意見を聞いて、これでは未婚率の上昇も少子化も止まらないと思いました。国の施策も、上の世代の苦労を見てきた若い女性たちの意識を変えるには至っていないようです。その反面、若い男性は子どもとのキャッチボールを楽しみにするなど、子育てに夢を持っていると言えるでしょう。この隔たりは、理想の結婚相手や結婚後の生活についても同じなのか、これからしっかり探っていきたいと思います。

写真=iStock.com/mbbirdy

原田 曜平(はらだ・ようへい)
マーケティングアナリスト

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」「Live News it!」、日本テレビ「バンキシャ」等に出演中。「原田曜平若者研究所」のYouTubeチャンネルでは、コロナ禍において若者の間で流行っていることを紹介中。