若者たちの本音に見る夢と計算

【原田】羽山さん以外の4人は結婚したいんだね。今は一緒にいたいだけなら事実婚という選択肢もあるのに、どうして未だに結婚制度に引かれるのかな。実際、ブロガーのはあちゅうさんの事実婚も話題だし、フランスには事実婚でも結婚と同じ権利が得られる「PACS(パックス)」制度もある。日本もそうなっていく可能性は大いにあると思うんだけど。

【塩田くん】事実婚は、日本だとまだ法整備が追いついていないイメージがあります。それに、結婚って2人の愛のゴールの形かなと。ずっと一緒にいたいっていう気持ちをシンボリックに示せる気がします。

【田中さん】私にとっては、結婚の一番のメリットは体裁がとれることかな。結婚すれば、一緒に住んでも周りからとやかく言われないでしょう。でも、やっぱり憧れもあるんですよね。両親が結婚記念日を祝っている姿を見ると、いいなぁと思うし。

羽山さんは「結婚はせず独身のままでいたい」と考えている。
 

【伊藤くん】恋人から夫や妻になることで、周りに「一区切りつけた」と示せる気がしますね。なぜ示す必要があるかと言われると、うーん……両親や祖父母も喜ぶだろうし、やっぱり子どもがほしいからかな。

【羽山さん】私は、彼氏はほしいけど結婚はしたくないです。付き合うのも、お互いが経済的にも精神的にも自立していることが大前提なので、事実婚も結婚も何のメリットがあるのかわからないですね。

【原田】男子は愛の形や区切り、女子は体裁やメリット。結婚についてかなり対照的な言葉が出たね。伊藤くんが言った「区切り」は、「けじめ」とも言い換えられると思う。そう考えると、男子はまだ結婚に対して夢があったり、古い道徳観念を受け継いでいたりするように見えるね。ところが、これに対して女子はかなり現実的。どうしてなのかな。

男女の結婚観の落差はどこで生まれるか

【田中さん】母からいつも「結婚は愛じゃないのよ、お金よ」って言われているからかもしれないです(笑)。でも両親の仲はいいんですよ。

【羽山さん】私は相手のリスクを背負うのが嫌だからかな。それに、結婚すると旦那さんの愚痴を言う女性も多いと思うんですけど、自分は独身のままで「私は楽だよー」って言いたいです。

【原田】なるほど。田中さんは、結婚の先輩であるお母さんからして、かなり現実的なんだね。それと、結婚すると愚痴が増えるのもまた現実。男子とのこの落差は、男女の結婚観の違いでもあると思う。これが若者全体の傾向だとしたら、「結婚したくてもいい相手が見つからない」という人は、今後ますます増えるかもしれないね。

羽山さんは「相手のリスク」というけど、逆に自分のリスクを相手にも背負ってもらえるから、1人より2人のほうが長い人生を安定して送ることができるっていう考えもあると思うんだけどね。まあ、1人で生きる覚悟は昔の女性より今の若者女性の方が持っている人が増えているのかもしれないね。