愛着の量より質が重要
親(養育者)と子どもの愛着形成は、生後間もなくからスタートしています。子どもから発せられる信号(泣いたり笑ったり不安そうだったりという感情の表れ)に対して、敏感に察知し、それに応えてあげることが愛着形成の重要な過程です。
多くの研究が、幼少期の子どもが親に助けを求めた時に、親がどれくらいそれを受け入れてあげることができているか、情動的な観点から、親がどのくらい子どもに対して対応してあげられているかによって、子どもの愛着形成に大きな差が出てくると報告しています。愛着の形成に重要なのは、「どのくらい子どもの感情的な変化について敏感に察知し、対応してあげられるか」であり、子どもと関わる時間の長さそのものではありません。
例えば、ひと昔前は、“抱き癖がつく”という理由で、泣いている赤ちゃんをすぐに抱っこしない方が良い、とされていました。現在は、赤ちゃんの頃から沢山抱きしめて安心させてあげましょう、という考え方が主流になっています。
また、幼児期の子どもがお手伝いをしようとしても、「危ない」あるいは「余計な手間になる」などの理由から、お手伝いをさせてあげない、目の前にいるのに子どもが話しかけても(スマホやその他のことをしていて)あまり向き合ってくれないなどと、親からの拒否傾向を子どもが感じていると、安定した愛着形成ができないことが明らかになっています。
最初の愛着形成があらゆる人間関係のテンプレートに
安定した愛着は、なぜ必要なのでしょうか。
子どもは親の対応から、自分は受け入れてもらえる存在なのか、保護や注意を払ってもらえるだけの価値があるのかという、自己や他者に対する自信や期待をどのくらいもっていいのかというような概念を形成していきます。
感受性が高い養育者は、時々刻々と変化する子どもの心の状態を読み取り敏感に対応するため、子どもはその養育者のもとで、自分が受け入れられる存在であることに安心し、安定した愛着を形成することができます。その結果、安心して、相手(養育者)の心を読むこともできるようになっていきます。