ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。金融庁が「老後資金2000万円の蓄えが必要」といった内容のレポートを発表し、日本では大変な話題となりました。その後の政府の対応も非常にまずく年金に対するさらなる不信を生むこととなってしまいました。
※写真はイメージです(写真=iStock.com/DNY59)

日本で女性が生活をするには老後資金はいくら必要か

現実、女性が日本で老後生活を送るにはどれくらいの資金が必要なのでしょうか。

総務省家計調査2017年」によると、高齢単身無職世帯の1カ月の消費支出および非消費支出の平均額は15万4742円です。ここから65歳から90歳までの生活費の総額を出すと、約4642万円となります。この生活費は持ち家が前提となっているために賃貸の場合はさらに生活費がかさむ場合があります。

この莫大な生活費を一体何で補うかと言うと、大部分は年金になります。では、年金は実際のところいくらもらえるのでしょうか。

「H31年金額 厚生労働省」のデータを基に、単身で厚生年金というパターンでの65歳からの標準的な厚生年金額は、月額15万6496円になります。この場合、65歳から90歳までの年金の総額が約4695万円になります。先ほどの生活費の総額から計算をすると、53万円のプラスになります。

2000万円必要なのは専業主婦世帯

次に夫婦ともに会社員で厚生年金をもらうパターンも考えてみましょう。このケースで、65歳からの標準的な厚生年金額は、月額15万6496円で、2人分で31万2992円。65歳から90歳までの年金の総額が約9390万円になります。

高齢夫婦、無職世帯の1カ月の消費支出および非消費支出の平均額は26万3717円です。この金額から65歳から90歳までの生活費の総額を出すと、約7912万円となります。生活費の総額からもらえる金額を引いて計算をすると、1478万円のプラスになります。平均的な報酬(賞与含む月額換算)が42万8000円で40年間就業したケースでの試算のため、ハードルは高いですが、いわゆるパワーカップルは老後にも強いということが分かります。

2000万円必要なのは誰なのかというと、夫が会社員で妻は専業主婦というパターンのことなのです。実際、老後の収入と支出は個人によって大きく異なります。まずは、定期便やねんきんネットなどで将来もらえる予定の年金額をシミュレーションしましょう。また、生活費の自分が月にいくら必要なのかを計算してみましょう。

単身だとライフイベント支出が少なく、かかるコストも少なくて済みますが、要介護になった場合に施設に入るなどのリスクが高いために予備費を多めに考えた方がよいでしょう。生活費に加えて、予備費として1000万円程度は考えたいところです。