過去最高でも4人に1人にすぎない
先日の参院選は、選挙における男女の候補者の数ができる限り均等となるよう、政党に対して自主的な取り組みを求める「男女共同参画推進法(政治分野における男女共同参画の推進に関する法律)」が成立してから初めての国政選挙でした。それもあってか、候補者に占める女性の割合は過去最高を記録し、当選者の数も、過去最高を記録した前回の参院選と並んだことは記憶に新しいところです。
とはいえ、その割合は22.6%と、4人に1人にも足りません。衆議院にいたっては10.1%、つまり10人に1人という状況で、これはOECD加盟国における最低の水準です(図表1)。
日本の政治における女性の進出の不十分さは、先の「男女共同参画推進法」の成立からもわかるように、特にここ数年でかなり広く認知されてきました。それにもかかわらず、女性の議員が増えないのはなぜでしょうか。
夫は妻の選挙を手伝えないのか
まずは、他の職業と同じく、日本では結婚して子どもを持つ女性が男性のように働こうとすると、さまざまな足かせがかかるということがあります。以前このコラムで、妻が働きに出ることを認めないという男性はさすがに少なくなったものの、その分の家事や育児を自分が引き受けるという意識を明確に持っている男性は、日本ではまだあまり多くないという話をしました。どうやらこのことは、女性が選挙に立候補する場合にも当てはまるようです。
たとえば、立憲民主党の枝野代表は、あるメディアの取材に対して「女性が選挙に出た時に、夫が自分の仕事との兼ね合いで妻の選挙を手伝えないなどの障害があり、女性のほうがハードルが高い。まして子育て世代だと、育児の負担を多く担っているため、コストが大きいことは間違いない」とコメントしています(Reuters、2019年7月16日https://jp.reuters.com/article/japan-election-female-candidate-idJPKCN1UB087)。
立憲民主党は今回の選挙でほぼ男女同数の候補者を擁立し、男女共同参画を最も積極的に進めた政党であり、枝野さんはその代表として現状を素直に語られたわけで、決して悪気はないと思います。けれども、このコメントからは「男性が選挙に出た時には、妻は仕事をしていないから、あるいは、仕事をしていても女性なら(辞めるなどして)折り合いをつけられるから、手伝うことができる」「女性は育児の負担を男性よりも多く担うべきである」といった意識が透けて見えます。この意識を変えるところにこそ問題の核心があるということを、政治における男女共同参画の旗振り役には自覚してほしい、と注文するのは厳しすぎるでしょうか。