突然の「公職選挙法違反」報道
「えっ、もう辞任することになるなんて……」
意外だった。
東京地検特捜部が10月24日、公職選挙法違反の疑いで、江東区役所内の区長室や木村弥生区長の自宅など、関係先の家宅捜索に入ったと報道された。今年4月の統一地方選の際、木村陣営がYouTubeに投票を呼びかける有料広告を出したとの疑いで刑事告発されていたものだ。
木村区長は9月の区議会で、「弁護士に確認したところ『公職選挙法に抵触する可能性を否定しがたい』との見解が示された」と説明、謝罪していたという。家宅捜索の2日後にあたる10月26日、木村区長は「これ以上お騒がせし、区政を混乱させてはならない」として辞意を表明。当選から半年で辞任する運びとなった。
木村陣営が木村氏自身のクレジットカードを切って掲出したという、「木村やよいに投票を」との14万円のYouTube広告。今やネットやSNS全盛期で、ネットを利用した選挙戦もきちんと認められた時代とはいえ「有料広告はNG」なのだ。悪意はもちろんなかったポカミスだったのだろうとは理解できるが、選挙のプロから見れば「言い訳のできない、致命的なミス」であり、そんなことも知らずに選挙に出ていたのかと厳しい視線を投げかけられても仕方がないのだという。
今年4月、東京都では女性区長が6人に
今年4月の統一地方選では東京都に新たに3人の女性区長が誕生し、非改選現職の3名に合流。小池百合子知事のもとに6人の女性区長が揃った姿は、日本が2010年代から取り組んだ女性活躍推進、「政治界、特に首長レベルにおける女性割合引き上げ」の結実の象徴として、話題になった。
新たに誕生したのは、江東区・木村弥生区長(当時)、豊島区・高際みゆき区長、北区・山田加奈子区長。非改選の3名は杉並区・岸本聡子区長、品川区・森澤恭子区長、そして足立区の近藤弥生区長だった。
特に江東区長選は保守分裂で注目を集めていた。木村弥生氏は区長選では新人だったが、木村勉・元衆議院議員を父に持ち、本人も自民党衆院議員として選挙区変更などの紆余曲折がありながら2期を務めた人物。前区長・山﨑孝明氏の死去後を継承する形で自民党推薦を受けた、長男で元都議の山﨑一輝氏を向こうに回し、無所属での立候補を表明して自民主流からの激しいプレッシャーにさらされた。