お互いの価値観や嗜好に寛容になれば、双方にプラスの効果が

誰でも自分の立場を支えてくれる情報に頼って、自分の考えと異なる情報は見なかったり、否定したりして済ませたほうが、認知的にはラクと言える。自分の信念と一致する記憶は思い出しやすい反面、イヤな出来事は記憶があいまいになっているというのも、記憶活動に「確証バイアス」が働いているからにほかならない。

したがって、他人の行動を気にしないために私たちがすべきことは、冷静に客観的な視点に立って、自分が認めたくない他人の習慣や嗜好についてマイナスの情報を集めるだけでなく、プラスの情報にも目を向けていくことだ。

喫煙の是非についていえば、嫌煙家には「ニオイがイヤ」「煙が嫌い」「有害物質が気になる」という声が多いが、ニオイはもちろん、有害物質をかなり軽減し、煙ではなく蒸気を出す加熱式タバコであれば、もう少し寛容な心で受け入れることができるのではないか。そうした加熱式への寛容な姿勢は、税収にもプラスに影響するだろう。嫌煙家の声が大きくなって喫煙者が減ると税収面では大きな痛手となるが、加熱式タバコへのシフトであれば税収は維持されるので、それが使途の限定されない一般会計に入ることで、国民生活に広く還元されるだけでなく、経済的にも良い方向に向かう。

喫煙者のほうも喫煙することの正当性を支持する情報を集めるだけでなく、タバコを吸わない人にとって何が迷惑なのか、客観的に知ることが必要だ。

今の日本社会に蔓延する極端な不寛容さを排して、価値観や嗜好が異なる者同士がうまく共存していくことができれば、双方にとってプラスの効果が発生することになるだろう。

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