間取り同様、実際に住むことを想定したとき気になるのが、生活していくうちにつく汚れや傷み。売却前提なら、家を汚したり傷つけたりしないように生活しなければいけないのでは? という疑問がわく。

「壁紙は張り替えればいいし、売却前、清掃のプロに徹底的にクリーニングしてもらえばいい。神経質にならず、好きなように住みましょう」

Q4.損をしない買い時はいつ?

ちまたでは「東京オリンピック開催まで不動産価格は上昇し、オリンピック後に下がる」という意見をよく耳にする。しかし、長嶋さんは「会場周辺の湾岸エリアなどを除き、東京オリンピックと不動産の値動きには関連性が薄い」という見方だ。

イラスト=柿崎サラ

「過去の事例だと、先進国ではオリンピックと不動産価格動向があまり連動しておらず、日本も例外ではないでしょう。今、都心部の不動産価格が上昇しているのは、人件費や資材価格の高騰などが主な要因です」

市場の動向は、考慮しなくてOK

こうした問題は一朝一夕に解決しそうにないため、「オリンピック後に不動産が安くなり、買い時が訪れる」と考えるのは間違い。

「人それぞれ住宅購入を検討するタイミングは異なりますし、物件との出合いも一期一会。ですから、市場の動向にこだわらず、“買いたいときが買い時”と考えましょう」

また、今は消費増税を前に、住宅ローン減税の拡大などの施策が実行され、ローン金利も低水準だ。

「住宅ローンでの住宅購入には追い風の状況です。この先インフレになり、金利上昇の可能性もあるので、低水準の長期固定金利でローンを組むといいでしょう。ただ、なかには当初何年かは低い固定金利で、その後金利が上がるようなタイプもあるので、契約内容はよく確認を」

Q5.確実に売るための策はある?

ここまで長嶋さんに挙げてもらったように、主要駅の駅近7分以内、洪水浸水想定区域を避け、管理状況の良いコンパクトサイズの物件を選択すれば、将来的に買値から価格を落とすことなく売却できる可能性が高くなる。とはいえ、約7戸に1戸の割合で空き家が存在するといわれる今、売却物件の在庫はダブついている状況だ。

「数ある物件の中で、きらりと光る好物件として多くの人に目をつけてもらうためには、まず値づけが大切ですね。高く売れたら御の字と、強気の価格をつけたくなりますが、周辺の同等物件の相場価格を調べて、それに若干上乗せしたくらいの価格を提示するとちょうどいいでしょう。若干というと漠然としていますが、おおむね相場+7%以内、といったところでしょうか」