手取りが8年で10万円減っている

ここで注目していただきたいのは、その手取り収入の変化です。例えば、年収500万円の場合、2009年度と2017年度の手取りを比較すると、金額で10万円減、割合としては約2.5%の減少率です。じわりじわりと負担は増えていました。

勘のいい方はお気づきかもしれませんが、2016年度と2017年度の手取りを比較すると、ほとんど変化がありません(表中ではまったく同じ数値になっていますが)。この大きな要因は厚生年金です。

社会保険料率の中でも、その数値が高いのは厚生年金保険料率です。そして、2004年度から始まった料率の引き上げは、2017年度に上限の18.3%に達しました。そのために、他の保険料率が変動しても、結果として手取り収入には大きく影響しなくなっています。ここ最近の負担増は厚生年金の存在が大きかったためで、上限に達したいま、ある意味“一服”しています。

保険料の変化は“変動率”でチェック

ちなみに、2004年度の厚生年金保険料率は13.58%でした。「18.3%と比較して、5%くらいのアップか」というのは正しいようで、的を射ていないかもしれません。“変動幅”でいえば、確かにそうなのですが、“変動率”でいうと、18.3÷13.58≒1.347……。つまり、この間の厚生年金保険料は同じ収入に対して、約35%アップしたことになります。

表中の医療保険や介護保険も同様に“変動率”を計算してみると、それぞれ22%、38.7%のアップ。道理で手取り収入は増えにくかったわけです。

こうした社会保険料率上昇の背景にあるのは少子高齢化です。そして、少子高齢化はこれからより本格化していきます。ということは、これからも改正が続くと考えるのが自然ですし、実際、政府はそう動いています。

2019年の10月には消費増税が控えています。増え続ける社会保障費対策となっていますが、個人的には消費税を上げたくらいで解決するレベルではないのではないかと見ています。ましてや、消費増税では低所得者の方々への悪影響が大きいですから、生活保護世帯数が増えて、かえって財政にマイナスに働きかねません。