買い物のたびにつくポイントを、使わずに貯めている人も多いのでは? 経済コラムニストの大江英樹さんによると、「ついたポイントは次の買い物のときにすべて使ってしまうのが正解」なんだそうです。その理由とは?
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ポイントは常にお得とは限らない

最近は買い物をすると多くのお店でポイントが付くようになりました。初めて入ったお店で買い物をすると「お得なポイントカードを作りませんか?」と訊かれて、入会金も会費も無料だからと、つい作ってしまうこともあるでしょう。ポイントが貯まって値引きしてもらったり、そのポイントで買い物ができたりすることもあるので、多くの人にとってポイントは人気があるようです。

ところがこのポイントサービス、常にお得とは限りません。ケースによっては気が付かないうちに損をしていることにもなりかねないのです。今回はそんなポイントサービスについて考えてみることにしたいと思います。

10%ポイント還元と1割現金値引き、どちらがお得?

例えば、家電量販店のポイントサービスを考えてみましょう。大きな家電量販店で買い物をすると、多くの店で10%程度のポイントが付きます。一方、ポイントは付かないけれど、その場で10%の現金値引きをする量販店もあります。

さて、この二つのパターン、一体どちらがお得なのでしょう?

「え! どっちも10%の割引になるのだから同じじゃないの?」。そう思った方は多いでしょうね。ズバリ答えを言えば、圧倒的に現金値引きの方がお得なのです。実際に計算してみると現金値引きは10%の割引率だけど、ポイント還元は9.1%の割引しかないのです。

「え? どうして? だってどちらも同じ10%じゃない!」

一体どうしてそうなるのか、よく計算してみましょう。

家電量販店のAカメラ、ここは10%ポイント還元です。一方Bデンキ、こちらは10%現金値引きです。同じ10万円のパソコンをそれぞれのお店で買ったと仮定します。どちらもまず10万円払いますね。ここまでは同じです。ところが買った後、Aカメラは10%つまり1万円分のポイントが付きますが、Bデンキは、現金で1万円をくれます。同じ10%=1万円ですが、AカメラとBデンキの違いはポイントか現金かということです。ここからが重要なところです。

Aカメラの場合に貰える1万円分のポイントは言うまでもなく、Aカメラでしか使えません。もちろん現金に換えることもできません。ということは、あなたはいずれAカメラでその1万円分の買い物をすることになります(もちろんその分のお金はポイントを使うわけですから、かかりません)。つまりあなたがAカメラで使ったお金は「自分の出したお金10万円+お店がくれた1万円」ですからトータルすれば11万円になります。ところがその内の1万円分はお店がくれたポイントですよね。全部で11万円使った内の1万円がタダになるわけですから、割引率は1万円÷11万円です。電卓で計算するとわかりますが、およそ9.1%の割引となります。

これに対してBカメラは10万円使った後に現金で1万円くれるわけですから、こちらは1万円÷10万円が割引率となりますので文字通り10%です。つまりどちらも1万円お得にはなりますが、Bデンキでは10万円しか使わないのに対してAカメラでは結局11万円の買い物をすることになるのです。割引率、一方は10%でもう一方は9.1%ですから、その違いは1割近くになります。長い間買い物をするなら、その違いはとても大きなものになるでしょう。