家事ができない男はあからさまにモテない

そのような背景もあり、スウェーデンでは家事時間の男女差は1日あたり1時間以内に収まっています(図表3)。一方、日本では女性が男性よりも毎日およそ2時間半も多く家事をしています。日本でも男性が家事をするのがカッコいいと思い始めれば、男女の時間差が縮まっていくことでしょう。

女性の側も、もっと家事のできる男性の価値を認めるといいと思います。スウェーデンでは家事のできない男はあからさまにモテないんです。家事のできることが結婚の条件にさえなります。だからたとえば「自分が親として子どもに伝えたいこと」として「男性も家事や育児に積極的に参加すべきである」を挙げたスウェーデン人は77.1%に上り、日本人の45.8%を大きく上回っています(内閣府(2016)『平成27年度少子化社会に関する国際意識調査報告書』)。

日本ではまだまだ根強い専業主婦願望

日本の女性は、たとえうちの学部の学生のように若い女性でも、そこまでの意識はありません。まだ、稼ぎのよい男性がいたら専業主婦になりたいという女性もいるくらいです。これは、データでも出ていて、「主婦の仕事は収入を得る仕事と同じくらい充実していると思う人の割合」は、日本では69.3%(世界2位)もありますが、スウェーデンでは25.1%(24位)しかありません(図表4)。

男性と女性の言い分をひっくり返したらそのおかしさに気づくと思います。女性がイエに入りたいと言ってもふつうに聞こえますが、男性がイエに入りたい、もっと表現をきつくして「ヒモになりたい」と言ったらぎょっとしませんか?

スウェーデンでは家事のできない男もモテませんが、「イエに入りたい」と願う女性もモテないんです。家事ができることは男性にとってのモテ要素、働くことは女性にとってのモテ要素になっているということです。結果として、スウェーデンでは母親の就業率が83%(世界1位)を超えている一方、日本では63.2%(同21位)にとどまっています。