いまの日本は150年前の明治維新の時期に似ている

イラスト=原田リカズ

未来予測に欠かせない3つの視点があります。

1つ目は歴史を学ぶこと。歴史を学ぶことで、現在がどういう局面にあるのかが判断できるのです。

「日本は150年前の1868年に江戸から明治へ時代が変わりました。そして、2019年には平成から元号が変わります。再び大きな転換点を迎えているといっていいでしょう」

150年前には産業革命が起きていた欧米の金融システムに組み込まれ、日本は通貨制度が混乱しました。物価も上昇し、人々の暮らしが厳しくなったのです。現在はGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)に代表されるIT産業革命が世界に広がっています。収入が増えない中で物価は上昇し人々の暮らしは再び苦しくなります。

2つ目は世界的視点で考えること。日本経済は単独で動いているわけではなく、世界経済の影響を受けているからです。

3つ目はデータ分析の基礎を学ぶこと。過去の相場の変動を示すチャートを見る方法をマスターしておくといいでしょう。

▼未来予測に必要な3つのこと
Point 1 歴史を学ぶ
歴史を学ばずしていまを知ることはできないし、いまを知らずして未来を考えることはできない。歴史の中からいまと似ている時代を探し、その後に何が起きたかを確認すれば、未来予測の手掛かりになる。歴史を学ぶには、経済や国際金融の歴史について書かれた本を読むといい。
Point 2 世界的視点で考える
日本経済も日本人の暮らしも世界経済という生命体の一部をなしている。世の中の動きを世界的視点で捉えなければ、事の発端を見極めたり、次に起こることを見通したりできない。たとえば、幕末のインフレは欧米の対日政策が原因だったし、2018年2月の世界的な株価暴落はニューヨーク市場が起点になっている。
Point 3 データ分析の基礎を知る
株価や為替レートなどの過去の値動きを示したチャートを見ることで、経済の先行きに対する投資家の微妙な心理変化を把握できる。また、過去の高値や安値を超えたときは、投資家の想定外のサプライズが起きていて、新たな動きが生じることも。高値や安値など値動きの節目となる閾値(しきいち)を把握しておこう。
渡辺林治(わたなべ・りんじ)
リンジーアドバイス 代表取締役
商学博士(慶應義塾大学)。野村総研、シュローダーを経て、企業の業績改善や資産形成に役立つ経済予測モデルを開発。著書に『乱高下あり! バブルあり! 2026年までの経済予測』。

文=向山 勇 イラスト=原田リカズ