管理職になりたてで仕事に行き詰まったとき、病で休業を余儀なくされたとき、これまで困難を乗り越えてきた先人の言葉が心にぐっと響くことがある。リーダーとして活躍する女性たちが、悩んだ“あのとき”に救われた偉人を教えてくれました。

「本当は保育士か幼稚園の先生になりたかった」

「欠点が見つからないのが、部長の欠点です(笑)」と部下が信頼を寄せるのは、真っ白なスーツと人懐っこい笑顔が印象的な齋藤美和さん。SMBC日興証券でプライベート・バンキング部門の部長を務めている。

(右)SMBC日興証券 プライベート・バンキング第二部 部長 齋藤美和さん

「大好きなアインシュタインをはじめ、歴史の偉人たちの名言集は、時間があるとよく読みます。読んですぐより、後からじわじわ言葉の意味が染みてくることが多い気がします」

「本当は保育士か幼稚園の先生になりたかった」という齋藤さんが証券会社に就職したのは、「1度はハイヒールを履いて仕事をする経験をしたかった」から。

出身である北海道で地域限定の一般職として就職し、来店する顧客の窓口対応をしていたが、当時の上司に勧められ外回りをして顧客開拓などの仕事にも挑戦し始めた。すると、次々と契約が取れるようになり、仕事が面白くなっていった。その後、上司の勧めもあって総合職に変わり、東京に転勤。28歳で千葉の松戸支店の課長になった。

「当時の課員は全員女性で、14人いました。そのうち、半分以上が入社1、2年目の若手。全員一般職の彼女たちのモチベーションを上げ、どう仕事に生かしていくかは大きな課題でした」