「七転び八起き」ではなく「79転80起」
ヘルパーさんを頼むと母は気疲れしてしまい、父も思うように動けない状態でぎりぎりまで我慢する。全員がもう限界と思ったときに、父は英語が通じる老人ホームへ移ったのです。それも本人が納得して入ってくれたことで、父自身がとても穏やかに変わりました。
そして母の場合は最後まで自宅で看ることができました。母は長期入院したのを機にヘルパーさんを拒むことがなくなり、訪問看護などを利用しながら、在宅介護の体制を整えたのです。そうやって何が起こっても早急に答えを出そうとせず、具体的に考えていけばよい方向へ進んでいくものですね。
人生は「七転び八起き」というけれど、私のモットーは「79転80起」。何回転んでもまた起きあがればいいのです。私の場合は仕事があることもありがたかった。いろいろ問題が起きると“もう辞めちゃおうか”と弱気になりましたが、あのとき辞めずに、仕事という逃げ場があったことは、振り返れば私にとっては幸いでした。
私も介護が終わるまでは“もうダメだ……”と何度も爆発していましたが、今はごく穏やかな日常です。まさに「起こったことはみんないい事」。体も心もゆったりしていて、それを楽しんでいます。
▼アンナさん5つの格言
研究室に張ってある直筆の格言。机に向かうと、この言葉がしっかりと目に入る。(左上から時計回り)
・マイナスに見える出来事もプラスにとらえる。
・うつでもお酒や買い物を楽しんでOK!
・眠ることこそ、心の安定には必須。
・無理を通すこともアリだと思おう。
・何回転んだって立ち上がろう!
構成=歌代幸子 撮影=伊藤菜々子