心のホットボタンを押す方法を、常に考えています

TFTの正社員になってすぐ、「おにぎりで世界を変える」をテーマに“おにぎりアクション”という企画を立ち上げました。おにぎりをつくって写真投稿すると、企業さんが寄付金を協賛してくれる仕組みです。どんな企画も、「面白いな、楽しいな」と感じてもらわないとマス(大衆)には広がりません。マーケティングは、シンプルでポジティブでストーリー性があることが大事。大切な誰かのために握るおにぎりには、多くの人の愛情やストーリーが込もっています。そこに少しだけ、開発途上国の子どもたちへのおすそわけの気持ちも込めてもらえたらと。

(左)『売れるもマーケ 当たるもマーケ』アル・ライズ/ジャック・トラウト(東急エージェンシー出版部/1546円)、(右)『イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ』クレイトン・M・クリステンセン(翔泳社/1800円)

そんなマーケティングの基本を教わったのが、新入社員時代に上司がすすめてくれた、『売れるもマーケ 当たるもマーケ マーケティング22の法則』です。マーケティングの原理原則が詰まったこの本は、迷うと必ず読み返します。なかでも、「マーケティングは商品の争いではなく知覚の争い」という教えは肝に銘じ、どういうメッセージだとお客さまの心に刺さり、人は共感し、行動してくれるのかを常に考えています。

実施して3年目の今、“おにぎりアクション”は世界の舞台で「アジアマーケティング大賞」をいただき、おにぎりの写真は1日に3千枚ペースで投稿されています。それは前職で得た学びと、本に書かれた法則に従ったおかげ。以前の私は石橋をたたいてたたき壊すようなところがありましたが、今はやるしかないので「なんとかなる!」と思っています。自分が信じたことをやっていると言葉にも嘘がないし、自分の気持ちのままに生きられる。自分にとっても子どもにとってもいいんじゃないかな、と思います。

▼Recommended MOVIE
『世界の果ての通学路』
監督:パスカル・プリッソン
2012年・フランス
アルゼンチン、インド、ケニア、モロッコの子どもたちが何時間もかけて通学する様子を追ったドキュメンタリー。「未来に向けての夢と希望を持つ子どもたちの、ひたむきな姿に心を打たれます。自分の子どもにも見せたい映画です」
大宮千絵
特定非営利活動法人 TABLE FOR TWO International チーフ・マーケティング・オフィサー
大学卒業後、日産自動車に入社。約7年間、市場調査室でグローバルマーケットリサーチ業務に携わる。2013年に産休・育休を取得した後、日産自動車を退社。15年4月よりTFTに正社員として勤務。

構成=浜野雪江 撮影=川島一郎、曾田 園